四千字と言う少ない文字数の中で。主人公の内面が垣間見え。読後に余韻に浸れました。日記とは、自らが後になって振り返る為に読みますが。記憶を完全に保持しているのなら、常に、日記を開いているような物になります。それが、良い記憶なら良いのですが。嫌な記憶や忘れたい記憶すらも。何かの切っ掛けで。風がページをめくるかのように開かれ。閉じようとした嫌な記憶(日記)を開くというのは。常人には堪えきれないでしょうね。生き続ける主人公の強さと。人の脆さが対比されている。素晴らしい作品でした。
日記と言えば個人が前の経験を整理したい後から思い出す為に書かれる事が多い。しかし、そんな必要が無いのであれば日記ではなくただの記録で良い。日記を書かない理由は人によって様々だし私も日記を書いた事は無いが、この主人公と同じ能力が有れば私は日記は書く事が出来ないと思います。
エルフという種族、そしてエリュウという個人のすべてが4,000字に凝縮されています。彼は本来であれば日記を書く必要がありませんが、この物語はもしかしたら、自分の体験に何か思うところがあって衝動的に残してしまった、最初で最後の日記なのかもしれません。
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