真夜中の君へ
メイルストロム
さようなら、レポーロ。
「──どう、し……て……?」
真夜中に
目の前に転がるのはかつての
「レポーロ、
──私は、どうしたらいいの?
貴方と居られるのなら何だってする、私が持つ全てを貴女の為に使うって決めたのに。頑張って貴女をあの地獄から救い出したのに、どうして貴女はそこで死んでいるの?
私がほんの少し離れた隙に、どうして殺されてしまったの。貴女の為にケーキを買いにいかなければ、貴女は殺されずに済んでいたのかしら。
「レポーロ、一緒に生きていこうって……言ったばかりじゃない」
床に落としたケーキを拾うこともしないで、私は物言わぬ
──国を追われた者、連れ去られて来た者、
多種多様な理由で流れ着いた者達が身を寄せあって生まれたこの国において、法を
──だから私は、一人で立ち向かうしかないのよ。
それからの私は犯人への復讐を胸に生き続けた。口に出せないような事も沢山やって来たし、人だって沢山傷つけたと思う。けどそれはお互い様だ。人は皆、誰かに迷惑をかけながら生きている。意図していないものだったとしても、そう言うことは多々あるのだから。
それに私は彼女の復讐を果たせたのなら、その後はどうでも良いのよ。今まで傷付けた人達に殺されて、
──そうして真夜中に独り、復讐を決心してからもう三年は
私はもうすっかりと夜の住人になってしまったし、あの頃からは想像できないほどに傷も増えた。肉体的な傷は
けれど、変わってきたものもある。目を
それにね、例え
そしてもう一つ気付いたのは、夜にしか彼女に
遠くに
……真夜中に堕ちた私はもう、陽のあたる場所へは行けないのだと理解させられた気がしたのよ。
だから今の私は──……真夜中でしか生きられない私は、きっと本当の私じゃないんだろうね。こんな寒くて暗い闇の中で復讐に身を焼いている私は、貴女に
──だから……さようなら、愛しのレポーロ。
私は今日、貴女の
きっと貴方と同じ所には行けないだろうけど、不満はない。真夜中に、暗闇に居れば何時だって貴女を思い出せるもの。
真夜中の君へ メイルストロム @siranui999
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