知的好奇心くすぐる独特の世界観

生まれてから死ぬまで、海に囲まれた塔の中で暮らすコミューンの人々の物語。
この世界独自の規律と制度での生活が描かれる。

コミューンを支えているのは学者肌である変わり者の司書たちと使徒、そして不思議な力を持った「本」。塔の中心、まるで迷宮のような「図書館」には数多の本が眠っている。

主人公のワタルとゲンヤを中心とした若者の群像劇でもあり、上の世代に都度悪口叩かれながらも仲間とともに切磋琢磨していく姿が印象的。海外の某有名魔法ファンタジーを彷彿とさせるようなところがある。

この世界にはなぜ女性がいないのか(いるのか?)、赤ん坊はどこから産まれてくるのか、百歳をゆうに超えて生きる人間がいるのはなぜか、どうして本が水に浮くのか、この世界の「猫」と「鼠」は一体何なのか、など、尽きることのない疑問とともにストーリーは進んでいく。

字の通り、「本を読んでいるような小説」。
就寝前の枕元で読んでいたい。

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