セクシャルマイノリティに関する問題を多角的なアプローチで紐解くエッセイ

性的少数者に関する問題に、ご自身も性的少数者である作者さまが自らの体験や見聞を交えつつ、さまざまな角度から切り込んでいくエッセイです。

性自認や性的嗜好が多数派から外れたところにある場合どんなアイデンティティを持つのかという、個人の視点。
最近よく耳にする「LGBT(Q)」という言葉の背後にある、政治的な問題。
同性婚にまつわる、法律の問題。
同性カップルが子供を持つことに関する、統計を用いた社会学的な見解。
そして文化や歴史の中にある同性愛者の存在についてのお話。

どの章も大変読み応えがあり、これらの問題に対しての情報解像度が格段に上がりました。

『多様性』の時代だと口で言うのは簡単ですが、セクシャルマイノリティのことを知れば知るほど、非常に複雑で難しい問題が山積しているのだと実感します。

一つ確実に言えるとしたら、作者である千石杏香さんはどんな型にも当てはめられない唯一無二の方であり、私は杏香さんの書かれるものを今後も読みたいということです。
これからも更新を楽しみにしています。

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