どんな苦境に陥ったとしても、少女は何度だって立ち上がる

正統派のハイファンタジーが好みで、カクヨムの中で探している方も多いのではないでしょうか?
この作品もまた、重厚な世界観と綿密な設定が魅力的なファンタジーです。


主人公のシリカは見習い水晶魔術師でしたが、優秀な姉リビラの力を奪った敵を追うために故郷を旅立ちます。
「敵」という表現を使ってしまったのですが、第一部を読み終えたところであることに気が付くと思います。「敵」と称された彼ははたして「悪」と呼べるのか? と。


旅を続けていくうちにシリカはたくさんの人たちと出会います。
志をともにする仲間、そして彼らに関わるどの人物にも心があり、葛藤があり、その一人ひとりにドラマがあります。思わず感情移入してしまうのも、丁寧に描かれていく心理描写のなせる技でしょうか。


この作品の見所のひとつが上記に上げた人間ドラマですが、もう一つは主人公シリカの成長です。

水の力で魔物を生成して戦うのがシリカの力なのですが、序盤の彼女は自身も力のなさを認めているくらいに、いわゆる落ちこぼれと呼ばれる存在です。
けれども読み進めていくうちに分かるはずです。本当の強さとは何かということを。

主人公のシリカには仲間がいます。そしていつも彼女を応援してくれた姉のリビラがいます。
最初は危なっかしくてはらはらしてしまうかもしれません。けれども、どんな強敵にも立ち向かっていくシリカを応援したくなりますし、迫力ある戦闘描写もまた必見です。


絆と成長の物語、少女の旅の行く末をぜひ見届けていただきたい作品です。

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