光が大きいほど影は深く巨大になる

第一部まで拝読したレビューになります。

国の資源であるクリスタルを守るために、水晶魔術師と呼ばれる者たちがいる。本作の主人公であるシリカは、水晶魔術師としてまだまだ駆け出しの少女だ。

彼女には同じく水晶魔術師である優秀な姉、リビラがいる。リビラは昔から水晶魔術に優れ、街の人々からとても頼りにされている。そんな彼女と上手く水晶魔術が扱えず臆病な自分を比べて卑下するシリカ。憧れは嫉妬に変わり、嫉妬は毒となってシリカを蝕む。リビラは自分の力を引き立たせるためにシリカを水晶魔術師に推したのだと。

この辺りの心理描写が見事で、シリカの葛藤や嫉みがよく伝わって素晴らしかったです。

そしてリビラの恋人でもある医師のレイクは水晶魔術師の家系だったが、魔力がないことで自尊心が渇き、「善良な医師」という仮面を被ることでそれを満たしている。そんな彼がとある浮浪者に善人面をしたところから、事態は急変します。

リビラが強く気高くあればあるほど、シリカとレイクの影は増していく。でも、その影に屈するかどうかが二人の命運を分けたのだと思います。シリカはこれから弱い自分と向き合い、きっと影を照らす光になるはずです。

素敵な作品に出会えたことに感謝を。
これからも応援しています!

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