あるあるだけじゃない、職業の深さを感じさせるエッセイ

クリーニング店に縁のない人間でも「これは面白い」とハマってしまうお仕事エッセイです。
接客あるあるの苦労も書かれていますが、ユーモアを欠かさず愚痴にならない語りの巧さ。その中でしっかりと客の立場だと想像の及ばないことを気づかせてくれます。そして職業に対する「プロ意識」の高さにはただ脱帽するばかり。
しかしこのエッセイはそこだけでは終わりません。
人間の成長、人生の節目。
筆者の目を通してこの仕事を知るうちに、洗濯物をあずけるということは日々の生活や人生の一部分をあずけるということでもあるのだなと思いました。
人生の機微や喜び哀しみは、ほんの小さな暮らしの片隅にもあふれている。筆者の鋭く、かつあたたかい観察眼が冴える、読後感のよい一作です。

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