第9話 葛藤

"白いボタンを押してから よく狙って撃て"


こんな言葉が脳裏に浮かんできたんだ


白いボタンって、例の送られてきたコンバット装備の

中に入っていた用途不明の銀色のボタン電池みたいな

やつがあったけど

アレを銃にセットするときに押したボタンのことだ

なるほど! やっぱりアレは電池なんかじゃなかったんだな。


「でも待てよ! ちょっと変だぞ・・」




俺は地面にべたりと座り、太い幹に背を

もたれさせながら真剣に考え始めた


銀ボタンが何かの働きをすることは理解できた

それはいいとして、"よく狙ってから撃て"


なんで当たり前なことを強調するんだ?


狙わないと当たらないということは、

これは誘導式じゃないということか?


だけど、そうするとあの素早い攻撃ヘリが

止まっている必要があるぞ!。



「う~ん 困ったなぁ 俺はライフル射撃の

 経験も無いし、猟やってる源さんみたいに

 腕もさほど良くないしなぁ・・」


そこで、なんとかありったけの知識で攻撃ヘリの

構造や性能動きなんかを思い出してみた


そうだ! 近距離なら戦車などの上面装甲を

打ち抜くためのガトリング砲やチェーンガンで

こっちを攻撃してくるはずだよな


そうなると射撃時は正確な狙いをつけるために

機体はホバリング(空中静止)状態となるはずだ


腕の良いパイロット程、ガナーのために

ぴったりと機体を静止させるはずだ。


「その時に、俺の方が速く撃てば・・勝てる!」



つまり、こいつは西部劇なんかによくある

クイックドロー/早撃ち対決ってわけだ。 



「正直いって怖いなぁ・・

 だけど、クイックドロー勝負は銃好きなら

 誰もが一度は憧れるシチュエーションだしなぁ


 右手のGunに炎が走るってか!」




よし! 俺はこの銃を信じてみることにした

注意深くグレネードランチャーの左脇に

ある白いボタンを押してみた。


ギョワァワァ~~ン!!


なんか、すごいエネルギーがチャージされているみたいだ

銃自体が小刻みに振動しているのがグリップから感じられる。


バリバリバリ!


また攻撃ヘリの爆音が近づいてきた


はぁ~はぁ~


俺は頬が膨らむ程、大きく呼吸すると

覚悟を決めて、密林から勢いよく飛び出したんだ。









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