第18話 覚悟
チームのみんなが黒こげになる夢を見て、俺は飛び起きた。
まったくぅ!! 女神といい汗かけると思ったのに
ほんと嫌な汗をかいてしまった
前にもこのパターンあったけど、この魔銃の製造者は、
相当にひねくれた性格をして、モテない奴だな (*-ω-)ウンウン
俺が一人で納得していると引き戸の向こうから呼びかけられた。
「お目覚めですかぇ? 朝餉(あさげ)の支度が出来とりますよって」
「おはようございます! はい 今いきます!」
庭の水場で顔と口を濯ぎ、座敷にいってみると卓には、
旨そうな蕎麦みたいな緑色したヌードルが器に盛ってあった。
「なんもありませんが、たんと召し上がってくだせぇ」
「はいっ!麺類大好きな俺には なによりのごちそうですよ」
スパイシーな美味しいタレで、手早く朝食を啜ると
俺はいよいよ切羽詰まった状況を話すことにした。
「長老さんと奥さんに大事な話があります」
と改まって切り出したんだ。
長老さんとメメケさんは急なことに驚いた様子だったけど
卓の向こうに並んで座ると、俺の言葉を待った。
「この村の近くにチャンシーの大部隊が集結しています
今日 明日には攻め込んでくるでしょう
だから、すぐに逃げる支度をしてください
ジャングルには隠れ場所は幾つもあるでしょ?
ここから離れていて、なるべく安全な所に避難してください
そこまでは、俺も同行しますから安心してください。
さぁ!もう猶予がないんです。残っている人たちにも知らせて!」
ところが、驚いたことに二人は俯いたまま動こうとしなかった
暫く、そうしていたけど顔を上げるとこう返事してきた。
「できませんのじゃ ワシらは逃げることはできないんですじゃ!
代々の村長と長老はなにがあっても、この村から離れられんのです
じゃから、ワシらはここで死によります 覚悟はできとりますよって」
長老さんが膝の上で握りしめていた拳がブルブルと震えるのが見えた
(はぁ? 死ぬ 死ぬってか! なに言い出してんのこの人たち・・
第一、目の前で死ぬっていうのは一種の脅迫なんじゃないのかなぁ?)
メメケさんはボタボタと涙を落としながら、黙って丸くなっていた。
俺は二人の姿を見て、ふっと一生懸命という言葉の語源を思い出した。
(そういえば一生懸命は元は一所懸命 自分らの土地や領地を
命がけで守っていくという意味だったそうだな)
下手な要求や懇願より、黙って伝来の定めに殉じようとする
二人の姿に、なんだか俺はジ~ンと感じてきてしまったよ
そして、蟠っていた想いを一気に言葉にして発してしまった。
「わかった、分かりました! やります!
これも一宿一飯の恩義ってやつです
俺とにかくできる限りやってみますよ!
その代わり、この村の中でどこか地下になって
いるところに隠れてください
砲撃なんか、きっと容赦なくおこなわれますよ。」
それを聞いて長老さんたちの顔が明るくなった。
「おぉっ! ありがたい! 分かりましたじゃ!
先祖から棺が納められている祠がありますよって
そこに皆で潜むことにしますじゃ」
そういうと二人はポレポレさんたちを呼びに家を飛び出していった
広い家の中にポツンと一人きりになったらどっと不安が襲ってきた。
「あ~ ついにやるって言っちゃったよ・・
とんでもない数の大軍団が迫ってきている
長老たちは、この村で死ぬっていうし
こっちも戦うって約束しちゃったしなぁ」
おれは腕組みして、広い座敷をぐるぐる回りながら
このピンチを切り抜ける妙案はないかと、ぶつぶつ呟き続けた。
「う~ん なんか何もしなくてもステージクリアしちゃうような
そんな凄い性能があるといいんだけどねぇ
せめて一発で相手を全滅させるような、お得な装備はないかなぁ?
でも、さすがにそれはチートすぎてゲームだったら
完全にゲームバランス壊しちゃうか?」
"やめておけぇ! そんなチート機能を実装したら不幸が襲うぅ!"
「なんてね いくら魔銃でもそこまで都合の
いい機能があるわけないか・・」
こうなったら先手を取って相手の燃料や
弾薬備蓄施設にでも殴り込むか?
なんて一人で作戦とか悩んでいた時だった。
「チワー! コンチワ~ス!」
と庭の方から呼び声が聞こえた。
「あれぇ? どっこで聞いたような声がするなぁ」
俺は急いで縁側に出てみたんだ。
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