第14話 鳩首

「ナハユ~キィミョーンナコタンチック ドォウオッツォ 


ようぞ キィミョーンナ村へ 別世界の人よ」


「はぁ・・ どうもありがとうございます」


俺は意外な展開にちょっと目が点になっちゃったよ

それにしても、この魔銃に自動翻訳機能が付いてて良かった~

どうせ翻訳されるんで、ここからは現地語は割愛しておこう


「ワシはこの村のポジェル(長老)のニギニギと申しますじゃ

お待ちしておりましたぞ ささっ ワシの家へご案内しますじゃ」


俺はニギニギさんに連れられて長老の家に向かうことになった

だけど、予約なんか入れるわけも無いのに

俺を待っていたってどういうことなんだろ?


人通りのまったく無い村の真ん中の通りを抜けて、

だらだらとした坂を上って行った先にド~ンと

長老のデッカい家が見えてきたよ


大きな門をくぐって芭蕉布の取れるイトバショウとか

アダンに似た植物が植えられている広々とした庭を通り

過ぎると立派な玄関になっている

そこから、家に入るとうす暗い大きな土間になっていた


上がり框(まぐち)の向こうには何十畳もあるような立派な

大きな広間がしつらえてあって、何かの植物を編んで作った

敷物が広々と延べられている


おまけに炉まで切ってあって、なんだか田舎とかに

ある大きな豪農の家にも通じるような作りなんだよね。


家につくまでの話で、ちょっと状況がわかってきたぞ

どうやら、この村のギィェッパム(メディシンマン/医者と

呪術師を兼ねた存在)のポレポレという人が別世界の人間が

現れると予知していたらしい



大広間に通されるとすぐに茶を入れてくれるというじゃないか。


「いま家内のメメケにポレポレを呼びに行かせてますじゃ

さぁ こちらでお寛ぎくだっせぇ。」


敷物をあてがわれて、茶のようなものを出された


「ありがとうございます それでは遠慮なく」


俺はバックパックと銃を降ろして座敷に

座ろうとしたんだけど、その時


ギィッギャギャャ・・・


マズい! このコンバットスーツで

正座をするのはキッツい! きつすぎる


だけど日本人としては、長老の家に

招かれていきなり胡坐もなぁ・・


「おおっ どうぞどうぞ! お楽にしてくだされ

おっつけポレポレもまいりますよって」


俺はお言葉に甘えてとことわると敷物を折って

足を投げ出して楽な姿勢をとった

香ばしい香りのお茶は不思議な味がしたけど、

温かい飲み物はありがたかったね。


そうこうしているうちにギィェッパムのポレポレさんと

長老の奥さんのメメケさんが来た

良く日に焼けて銀髪なので、みんな似て見える人たちだよ


それで突然ながら、このキィミョーンナ村の

緊急首脳会議が開かれることとなったんだ

三人は一様に緊張した面持ちで、俺の顔をじーっと見ている


なんだか間が持たなくなったので、俺の方から口を開いてみたんだ。


「あれ? この村には村長さんは居ないんですか?」


そう聞くと、長老の顔がさっと曇った そして苦し気にこう切り出した。


「ケポック(むらおさ)をしていたワシの息子 

ジギジギは連れていかれましたんじゃ! あいつらに!」



「えっ!? アイツら! アイツらって誰なんですか?」


長老は空の方を指さして苦々しく強い口調でまくし立てた。


「チャンシー星人ですじゃ! 

あのチャンシーども  突然に空から降りてくると

人も食い物も村の宝まで奪っていき寄ったんじゃ!」


「チャンシー星人って まさか? 宇宙人なんですか!?」


横にいたポレポレが大きく頷いて


「そうです そうです

やつらが光る乗り物に乗って現れた時

にこんな風に言いましたんです 


ワレワレハベツノホシカラキタチャンシーデアル」


それを聞いて、長老がまた気色ばんで大声を出した


「その上、あのど腐れどもはこの村に隠されている

ババリウムを出せと要求してきたんですじゃ!」


「ばっ ババリウム!? もっと詳しく教えてください。」


俺は戸惑いながらも彼らの話に聞き入っていったんだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る