第13話 邂逅

どっちに進むか迷っていたら、なんか急に

視界が暗くなってきちゃったよ。


「うわ なんだなんだ!  

頭痛もなにもないけど立ち眩みかな・・」


暫く動かないで、そのまま立っていた俺の視界の中に

今度は赤い点や青い点がチラついて見えてきたんだ

それに等高線みたいのとか幾つもの白い線も見える。


「あっ!? ひょっとするとこれはMAPなんじゃないかな

そうだよ これはこの辺りの地図に違いない

だいたい、こういうのはお約束で赤は敵性 

青は友好的な存在 そして白いラインは地形を

表しているんだろうな」


多分、偵察ドローンが送ってきた画像や

赤外線などのデータを魔銃が解析して

地形を読み取ったり、移動体の個々の発している

エネルギーや武器類の所持の有無などで判断してから、

MAPに表示してるんだろ


こうしたMAPはステルスゲームとかには

必ず表示されるし、以前に仕事で画像処理関連も

ちょっとやったんで割とスムースに納得できたね。


そうすると、ここから少し北の方で近くに川が流れている

所に四角い白いラインが幾つか表示されていて、

そこに青い点が幾つか動いている。


「これはたぶん村の建物の表示かなぁ・・ 

四角いのが建物で青が住民だろうか?」


赤い点の方は、それよれずっと離れた

南西の方向に固まって映っていた


地形を示す白いラインを覚えていると 

また視界がクリアになってきたよ。


「ふ~ん なるほどね、だいぶ分かったぞ 

 とりあえずこの村をめざしてみよう」


と早速、その村へ向けて出発しようとしたけど 

その前に銃をずっと持って歩くのは厄介だ

そこでバックパックから予備のスリングを取り出して 

なんとか魔銃の前後に括りつけてみた

そして右肩に銃口を上にして担いでみると思ったより

安定していて良かった。


「おっ よしよし これで安心して歩けるな」 


準備が出来たので俺は村にむけて歩き出した


すると突然に20cmくらいはありそうな蜻蛉か

ウスバカゲロウみたいなのがブ~ンと羽音を

させながら飛んで行ったんだ。


「うひょ~ でっけぇ! まてよゴキブリとかも

 60~70cmくらいかも知れん・・ブルブル><」


暫く歩いているとせせらぎが聞こえてきて、

小さな川が見えてきたんだ。


「この川だな これに沿っていけば間違いないだろう

底の浅い川だけど魚とは見えないな 

水は澄んでるみたいだけど沸かしてからでないと

飲むのはヤヴァいよなぁ・・」


チィチチチチィ


見たことない、ちょとセキレイに似た野鳥が何羽か

おもしろい鳴き声をだして飛んでいる

なんとも平和で、攻撃ヘリと戦ったなんて嘘みたいに思えるよ。


すると鬱蒼とした巨木の向こうにようやく目指す村が見えてきた。


こっちで見た大きな神殿に使われているのと同じような 

黒ずんだ石を切り出して造られているずんぐりしてとても

頑丈そうな家が何棟もあった。

石材の中にはびっくりするくらい大きなものもあるんだけど

小さめの石と巧みに組み合わされて塀などが作られてるんだ。


俺が村を眺めていると、また視界が望遠モードになって

村の中の様子がはっきりと見えてきた

陶器の壺などがいくつ並べてあったり、軒下に野菜が

吊られていたりと生活の後がはっきりとあって、

廃村のように長く打ち捨てられていたような様子は無かった。


「う~ん 勝手に村にズカズカ入って大丈夫かなぁ?

 吹き矢でブスっとかされないだろうなぁ・・?」


心配もあったけど、表示の青を信じて村の入り口をくぐったよ

だけど、そこそこの村の規模の割には人気が感じられない・・


するとやっと一人、村人らしいのが現れてこっちに

ゆっくりと近づいてくるじゃないかぁ!


見たとこ70~80かな よく日に焼けて皺だらけ顔 

白というより銀色に近い髪

緊張した面持ちの爺さんが慎重に

こっちを伺いながら寄ってきた。


俺は右手を少し上げてからお辞儀をしてみせた

そして、なるべくゆっくりと語尾を区切って

挨拶の言葉を伝えてみたよ。


「こんちには 私はケン・シナノ

別の世界から来ました 日本人です」


するとその老人は繫々と俺を見て 首を二、三回

傾げるとゆっくりと話し出したんだ。


「ドォウオッツォ~ニュメロポンクォタンチックケウェ~ウシャイツゥ」


「どうしよう、まったく聞いたことも無い言葉だよ 

う~んこりゃ困ったなァ」


そう思っていると なんか頭に意味が浮かんできたぞ。


ポンクォタンチック

この村


ケウェウ シャイツゥ

狙われてます


ドォウオッツォ

別の世界から来た人間


ニュメロ

助けて


"この村 狙われてますじゃ 別世界から来た人 助けて"


「なっ! なんだってぇーーっ!!」






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