しば桜が見守る、三代の母娘たち。極彩色の恋愛絵巻に酔いしれる。

大正から令和へ。波瀾万丈な人生を歩む女性たちの、傷を抱えながらも苦難を乗り越え懸命に生き抜く姿が痛々しくも美しい。
母娘三代、それぞれに愛情深い生原家の女性たち。男女の恋愛から夫婦愛、親子愛、家族愛。それはときに、自らの大きすぎる愛に翻弄されているようにも見えるほど。衝撃の展開もあり、ハラハラしどおしです。
そんな彼女たちをずっと見守り励まし続けてくれたのは、白と薄桃のしば桜でした。

流麗な文体に独特な台詞まわし。彩豊かに綴られる物語は、唯一無二。この作者様にしか作り上げることのできないものだと思います。ぜひこの世界観に浸り、酔いしれながら、しば桜と共に彼女たちの幸せを見守ってあげてください。
ラストでは新たな色のしば桜も仲間に加わり、また、しば桜の声を聞く不思議な力も新たな代に引き継がれてゆくのです。明るい未来へと繋がるようで微笑ましく、温かな気持ちになれます。

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