衝撃
「柔らかいかき揚げ」をアップし、人の話を読むと自分の反省をする。
(うーん。 自分の思ったことを、そのまま書いてしまったが、『緑のたぬき』や『赤いきつね』にまつわる話になっているのか。 さすが、カップ麺を使って、上手に話を作っている。 それに比べたら、私の話は、笑いも涙も無く、リアルに食べた時の話なのは、反省材料なのかもしれない。 読んで参考にさせてもらおう)
買ってきた『緑のたぬき』にお湯を注ぎつつ、話をチェックする。
(おっ! コメントが付いた。 ん? コメントやレビュー、何回目? うん、多分、何作も書いているけど、全部で2・3回目だな)
『緑のたぬき』にお湯を入れると、こたつの上に置き、人の作品を読み終えて、ワークスペースに移動する。
右上のベルを確認すると、作品にレビューという青い文字で書かれていた。
(おおーっ! コメントもだが、★まで頂いてしまったぁーっ! ありがとうございます)
心の中で感謝しつつ、『読者からの反応』を、恐る恐る確認する。
(やったーっ! 高評価だーっ! 嬉しいーっ!)
顔をニンマリとさせて覗き込む。
(おおーっ! 柔らかいかき揚げが、好きな人がいた! おおーっ! 仲間だ!)
この時は、単純に同じ考えをする人がいると思っていたが、それは、私の中の緑のたぬきに対する勘違いに気がつく始まりだった。
コメントに、柔らかいかき揚げが好きだとあり、同じ考えの人がいるで片付けていたのだが、次のコメントにも柔らかいかき揚げが好きとあり、増えてくるのだが、硬いかき揚げの人にコメントが出てこない。
(高評価を得ているのだが、これは、普通の食べ方じゃないはずだから、反論があると思うが、何もないな)
不思議に思いつつ、自分の書いた文章を読み返してみる。
(そう言えば、かき揚げを後に乗せるのって、東京に出た時に言われたのか)
ふと、思いついたので、その話を2話目としてアップした。
(これで、硬いかき揚げ派の人から、何か、コメントがあるかもしれないな。 2・3日もすれば、何かコメントがあるだろう)
そう思ってアップしたが、その反響はすぐに現れた。
それは、別の作業をしていた時に起こった。
(あれ? 柔らかいかき揚げに、何かついたぞ)
そこには、私の知らないことが、書かれていた。
(何? 本当なの? ウソでしょ)
そのコメントを見て、私は、仰天しました。
今まで、信じていたことが、瓦解していく。
そのコメントには、私を否定したようなことが書かれていた。
「カップ麺の説明書には、先にかき揚げを入れてお湯を注ぐとあります」
そのコメントを見て、今まで自分だけが、この恥ずかしい食べ方をしていたと思っていたのだが、これは、メーカー推奨の食べ方だったのだと、指摘を受けた。
その瞬間、後からかき揚げを入れると言った友人の顔が、頭に浮かぶ。
その顔は、してやったりといった顔をしていた。
(私の中で、そんな顔をするなーっ!)
思わず、心の中で叫んでしまった。
すると、冷静になったのか、友人も地方出身者だったことを思い出した。
(あれ! これって、あいつに担がれていたってこと? 卒業して社会人になって、何年も経った今まで、私は、あいつの嘘に騙され続けていたってことなのか?)
私は、恐る恐る、こたつの上にあるカップ麺を覗き込む。
蓋には、説明書きは無かったので、カップの側面を回してみると、そこには、調理方法が書かれていた。
【調理方法】必要なお湯の目安量:400ml
① フタを矢印まではがし、粉末スープを取り出す。
② 粉末スープを麺の上にあけ、熱湯を内側の線まで注ぐ。
③ フタをして3分後、よくかきまぜる。
七味唐辛子をおこのみでかけてお召しあがりください。
書かれた内容には、粉末スープを取り出すとあるが、かき揚げを出すとは書いてない。
(してやられた!)
友人に文句を言いたいのだが、卒業後の連絡先など、取り交わすような相手でもなかったので、今では会う事もない。
「くそー。 ピーーーーーーッ!」
私は、表現してはいけない罵詈雑言を、誰もいない部屋で吐き捨てていた。
柔らかいかき揚げ 逢明日いずな @meet_tomorrow
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