スマホって個人的に三種の神器に入れてもいいと思う
ポチャンと沈んでいるスマホ……。
おいおい、まじかよぉ。
恐る恐る、スマホを手に取る。
「生きててくれよ……」
あれ、このスマホ、防水だっけ?
え、そうだったよね!?
そんなことを思いながら、俺はスマホの画面を触る。
が……。
「つ、つかない」
横にある電源ボタンを押す、何度も何度も押すがつかない。
長押ししても、結果は同じだった。
「このやろー!」と叫びながら、俺はスマホを湯の中に投げる。
勢いよく水滴が飛び散り、スマホは底に着く。
そして、俺は口元まで湯に入れて、ブクブクと吹く。
最悪だ、ソシャゲのデータも俺のお気に入りの二次元のエロ画像も全部消えた。
頭が真っ白になる。
なんで防水がついてねーんだよ!!
笑うことしかできない。
一旦、顔を両手ですくった湯で洗い、気持ちをリセット。
「え、まじかよ、まじですか。スマホを手にして約五年、もしかしたら家族より顔を合わしている時間が長かったスマホを湯に……」
ああ、本当、今日はついていないようだ。
「もしかしたら、俺、今日死ぬんじゃね?」
○
そんなことを思った昨日、今日は土曜日のため学校はなく休みだ。
「ふう〜、なんとか生きてるな」
昨日、スマホを水没させてしまったため親に言ったところ高校生として持っておいた方がいいとのことなので、金をもらい一人、ケータイショップに行くことにした。
にしても、スマホがない夜は退屈だった。
いつも観ているYouTubeも、いつもやっているソシャゲも、いつもエロ漫画の毎日ランキングで好みのやつを読むという行為ができず、久しぶりに3DSをやっていた。
やってみての感想だが。
いや、やっぱり3D必要ないよなぁ。
まあ、沢山の思い出を思い出せたのはすごく嬉しい。
つっても、半分以上のゲームがバグらせてあったけど……。
よし、絶対に防水付きにしてやるよ!
この機会だ、どうせなら一番高いやつにしてやろう。
この、親の金で!!
プラスに考えるとこの二日間は完全にあの四人たちからのLINEは来ないわけだし気楽に……って、よくよく考えるとデータがなくなったってことは翔子さんと話すのも……ゼロになったじゃないか。
なんせ、翔子さんとLINEを追加したのは理由があったからだ。
でも、今はどうだ?
──ねーよ。
くそ!
まじで水没して後悔しかねーよ!
ということで、近くのスマホショップにやって来たわけだが。
え、何この緊張感!
たかが自動ドアが体育教官室ぐらいの緊張感を叩きだきてるんだが。
そーいえば、俺、スマホを一人で買いに来るの初めてだもんな。
一応、高校生だけでも契約ができるらしいのだが……なんで、親とこなかったんだろ俺。
変に親には書類をやってもらったし、何したんだ俺。
にしても、怖いな。
あと一歩が踏み出せないんだが。
え、翔子さんに告白するときの【送信】ボタンより身体が動こうとしないんだが。
も、もしかして……け、結界でも張ってあるのか──ッ!?
なんて一人でボケていると、そのときだった──。
「その美しい後ろ姿、隼人?」
背後から、聞き覚えのある声がする。
その声はとてもお母さんのように暖かいモノだった。
ま、まじすか、え、マジスカ。
──恐る恐る後ろを振り向く。
完全にそうだよね!?
「えーっと……」
そこには──。
ポンとたわわな胸の前で手を揃える一人の美少女。
桜咲美がいた。
どこかのお嬢様なのか隣にはボディーガードらしき黒いスーツに黒いサングラスをかけた男性が立っていた。
「こんな休日に会えるなんて、あたし、幸せです! ふふふ、運命ですね隼人!! えーっと、そんなに固まらなくても……」
どうやら、俺には休日がないらしい。
スマホぐらい一人で選ばせてくれよ……。
トークアプリで好きな人に告白したら誤ってグループに送ってしまった〜可愛い子たちからみんなOKで修羅場と化す〜 さい @Sai31
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