モテ期到来
次の日、俺は恐る恐る教室は入る。
が、しかし、どうやら周りは俺に注目していない。
つまり、昨日の告白LINEを見ていないということだ。
一安心だ。
俺はホッとすると安心して息を吐いた。
本当は今日は休むという選択肢もあった、でも、これなら学校へ来て良かった。
昨日のあのLINEから怖くてLINEは開いていない。
そのせいか、昨日からブーブーとブザーがめちゃくちゃ鳴っている。
それも昨日、勘違いして来た奴ら全員からだ。
多分、既読無視が原因だろうけど怖くて開けない。
なんなんだよ、最後の弥美さんからのLINEは。
今思うだけでも背中が寒くなる。
まあ、多分何も起こらないことを期待していよう。
しかし、そんな俺の願いは叶うわけもなかった。
それは放課後のことだった──。
俺は教科書をスクールバッグに入れながら思う。
結局何もなくて良かったと。
案外、考えすぎだったのかもしれない。
そもそも、昨日のあれは夢だったのかもしれない。
普通、LINE無視なんてされたらこちらに怒りになってくるものだろう。
だがしかし、彼女たちは誰一人休み時間にやってこないのだ。
幸いにも誰一人同じクラスじゃなかったのが、今日一日の救いだった。
同じクラスだったら、まじで気まずいだろ。
話は戻すが、つまり、昨日のあれはもしかしたら、俺のキモい妄想だったのかもしれない。
だって、考えてみろ、俺があんな美少女たちとあんなことになるか?
結論はならないだ。
ふん、こんな簡単な問題も俺は解けないのか。
変に考えすぎてしまっていた。
仮にあれが現実に起きてしまったら、俺は多分修羅場とやらに遭遇することになる。
何よりも、翔子さんとの関係がさらに遠くなる気がする。
さてと、帰って明日翔子さんと話す口実でも考えるとしよう。
そんなことを考えて、席を立ち上がった時だった──。
タタタという足音とともに、こちらに大勢の人がやってくる。
俺はその足音に気づくと、すぐさま前を向いた。
「なっ──」
その光景に俺は思わず声を出して驚いた。
「なんで……いんだよ?」
声を震わせながら俺はそう呟く。
「し、失礼ね! 昨日、既読無視したのくせに!」
「もしかして、あたしで一人遊びでもしてたんですか!」
「ふ、複数……なんですか、この人の量は!?」
「ふへへへ、このひとたち……もしかして、ボクとヒーラギの関係を壊そうとしてるのかな?」
そう、そこには昨日LINEが来た……四人がいた。
右から、真維さん、咲美さん、玲さん、弥美さんだ。
俺は頬をピクピクと痙攣させながら。
ですよねー。
全てを悟った。
あれは全て現実世界で起こっていることも、何よりも人生とは起こらない現実が起こるようにできているということを。
周りを見ると、当然この美少女たちが一斉に俺のところにやって来ているわけだざわざわと驚いている様子。
完全に修羅場と化したこの空間に気まずそうに周りは教室から出て行く。
やめてくれ、この修羅場に俺を置いていかないでくれ!
そんな心の声は届くことはなく、気がつくと教室はすっからかん、俺とこの四人だけになってしまった……。
……まずいことになった。
非常に最悪な空間となった。
ひじょーに気まずい!
どうしようか、この空間になった瞬間、緊張で手汗が止まらないんだが。
「それで、誰なの、この人たちは?」
この状況でもクールな彼女を見ると少し申し訳なくなる。
「ふふ、みんな胸が小さいですね。あたしのおっぱいを見て隼人はあたしに夢中です」
たしかに夢中だが、さらに修羅場になるからそれ以上は言うな。
「れ、玲が一番、柊さんのことが……す、好です!」
なんでそんなに可愛いんだよ!
「殺す、殺す、殺す、殺す」
……ああ、こいつが一番の問題児だ。
難易度カンスト野郎だろ……。
全ての元凶が俺だというのに何故だか、俺が被害者にしか見えないこの状況。
とりあえず俺は頬を染めて、顔を伏せる。
つ、つまり、あいつらは俺のことが好きってことだもんな。
くそ、変なモテ期が来てしまった……。
そう後悔をしたのだった──。
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