トークアプリで好きな人に告白したら誤ってグループに送ってしまった〜可愛い子たちからみんなOKで修羅場と化す〜

さい

人生とは一つのミスから始まる

 その日俺は、中学からの幼馴染で中学から好きな白雪翔子に……高校二年の春にして、LINEで告白をした。


 本当は口でいいたいが、なかなか言えたもんじゃない……少しチキンだが仕方ない。


 というのも、高校一年までは同じクラスだったが、高校二年になり彼女とは別のクラスになってしまったのだ。

 なので、俺が知らない間で誰かに取られる可能性ができたわけだ。


『あなたのことが好きです、付き合ってください』


 少し、ベタなセリフだが……まあ、こんな感じでいいだろう。


 ……というのも、変にカッコつけたセリフを言ったら言ったで引かれると思ったからだ……。


「よし、送るか」


 うまくいけば、俺の人生はこの先幸せ……失敗しても、恋というのは一度失敗したぐらいで諦めろなんてモノじゃない。

 だから、心にダメージが入るがそれでも立ち上がり、もう一度彼女を狙うだけだ。


 俺は親指で【送信】ボタンを押した。


 頼む……うまく……。


「え?」


 その瞬間、俺は目を大きく開いた。


 なぜかって、既読が飛んでもない速さでついたからだ。

 それも、一つではなく……四つ……。


 この瞬間、俺は全てを悟り急いで、【送信取り消し】をする。


 待て待て、一旦深呼吸だ。


 俺はとりあえず、名前を……『一年仲良しグル』。


 は、はは。


 どうやら、俺は好きな人にLINEをするはずが、間違えてグループで告白してしまったらしい。


 このグループは一年生の総合グループであり、人数は百六十二人で構成されている。


 幸いにも四人しか見られなかったわけだ。


 あ、あぶねー。


 きっと、大丈夫だろう。

 たかが、四人なんだ。


 これが三十人とかだったら、少し危なかったかもしれないが四人なんだ。


 そんなことを考えていた直後だった──。


 突如、【マイから通知が来ました】と表示される。


 なぜ、真維さんが……?


 高月真維。

 クール系の完璧主義者だが、顔は整っており胸もなかなか……男子たちの間では『みんなのお姉さん』と呼ばれている。

 そんな人がなぜ俺に?


 そもそも、俺は真維さんとはLINEを交換していないはずだ。


 俺は恐る恐る、真維のトーク画面に飛んだ。


『ねえ、隼人くんって……もしかして、私のこと好きなの?』


 その文字を見た瞬間、俺は口を開いた。


 まさしく、開いた口が閉じない状態となったわけだ。


「は? ちょっと、なんで、どういうことだ?」


 俺も馬鹿じゃない、多分、真維さんは『一年仲良しグループ』で既読をつけた一人なのだ。

 それでも、自分だと思い込むモノなのか?


『誤解です。あれは……』


 と、とりあえず、誤解を──。


 すぐに既読がつく。

 まるで俺を見張っているかのように。


『いいわ、私もあなたのことが少し気になっていたの』


 おい待て、あれは誤解だ。

 てか、俺とあんたはそんなに接点ねーよ。

 なんで、俺のこと気になってんだよ。

 あ、でも嬉しい!


『へ、へぇ……』


 正直、どうやって反応すればいいんだこれ。


 そんなことを考えていたら続いて──。


【咲美から通知が来ました】と表示される。


 桜咲美。

 爆乳の持ち主であり、入学当初から、男子たちの間では『みんなの美少女ママ』とあだ名がついている。

 『咲美さんでおぎゃりたい』というとんでもないワードが一時期男子の間で流行ったレベルだ。


 あれ、この人も……俺は追加してないはずだ。


 さきほどの流れから行くと多分、この人も既読をつけた一人──ということだよな?


 俺は咲美さんのトーク画面へ飛んだ。


『もしかして、あたしでおぎゃりたくて告白したんですか!? ですが、ごめんなさい。まだ、あたし……ミルクは──で、でも、隼人と子供ができたら……なら///』


 おい、もしかして『咲美さんでおぎゃりたい』知ってんのかよ。

 くそ、悔しい、なんでこんなに……こんなに……口角が上がるんだよ!!


 この誤解に関しては案外いいものかもしれない。


 だが、俺は……。


『ご、誤解です。あれは、転送ミスでして』と送信。


 好きな人がいるんだ!!


『は、恥ずかしいんですよね! あ、あたしも……あんな人前で告白なんかされて恥ずかしいです』


 待て、なんであの場で自分が告られているなんて発想になるんだ。


 そんなことを考えていたら、またまた続いて──。


【小鳥遊玲から通知が来ました】と表示される。


 小鳥遊玲。

 背が低いのをコンプレックスとしている、男子たちの間では『みんなの妹』と呼ばれている。

 ちなみに、声がかなり声優声で可愛らしい。


 って、俺の学校の男子ってみんな終わってるな。


 この人も追加していない。


 もう、流石にこの流れからしてわかった。


 俺はトーク画面へ飛んだ。


『れ、玲でいいなら……でも、まだ熊さんのパンツだし……そ、それでもいいなら』


 や、やめろおおおお、文字読むだけで脳内で可愛らしい天使の声が再生されるんだけど。


 てか、その情報は言うな……あざす!


 さてさて、ここまで来たらもう笑えないレベルで勘違いしている人が三人いるわけだ。

 多分、全員既読をつけたやろうだ。


『玲さん、あれはですね……誤解です』


 こうなれば、四人目もこのパターンだろう。

 ああ、どうせなら、白雪だったらな……そんなことを考えてしまう。


『う、嘘はダメ! サンタさん来ないですよ!!』


 そんな文字に俺はほのぼのしてしまう。


 あら、なんて可愛い純粋な人なんだ〜。


 そんなことを考えていたらまたまたまた続いて──。


【黒川弥美から通知が来ました】と表示される。


 こ、このパターンは……。


 黒川弥美。

 正体不明の清楚系美少女。

 何を考えているのかすらわからないそんな人だ。

 男子たちの間では『正体不明のみんなの同級生』と呼ばれている。


 そして、この人も追加していない。

 

 ここまでくると、もうわかる。


 ……どうせ、誤解なんだろ?


 そんなことを考えながら、俺はトーク画面へ飛んだ。

 

 さあさあ、どうせ変に誤解したこと言うんだろ?


『愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる。ボクもあなたのことが好き……だから、あそこも濡れてるし……嬉しい!』


 俺は急いで、スマホをぶん投げ。


「ぎゃあああああ」と叫んだ。


 と、トラウマになっちまったああああ!!


 ──これは一つの送る先を間違えてしまったことから始まる、ハーレムラブコメである。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る