更なる修羅場
逃げようとしだす弥美さんを両手で抑えていると──。
「ボ、ボクはこれで……いや、ヒーラギと一つになっていると……何より下半身に突起物が……」
ヨダレを垂らしている弥美さん。
おいおい、アソコに関してはお前が可愛いいからだ!
しかもいい匂いするしよ!
これは生理現象なのだ。
「う、うるさいわい! あと、ヨダレが俺の袖に垂れてる!」
「こ、これはマーキングだよぉ……」
本当は弥美さんと逃げるという方法があったのだが、それだとまだまだ弥美さんと二人、何をするかわからない。
なら、弥美さんの身を他の三人に預けるという手を打つことにしたわけだ。
まあ、多分俺も巻き込まれてめんどくさいことになると思うが弥美さんが何かしだすよりはマシだ。
と、そこに三人の影が……。
よし、やった! 俺の勝利だ!
そう思った刹那、険しい顔をしている真維さんはカッターを……。
「え、ちょっ──」
こちらに向かって投げる。
目で追えないほどのスピードでカッターは目の真横を通り木でできた柱に突き刺さる。
え、え……。
この恐怖で力が抜け、そのうちに俺から脱出する弥美さん。
真横に突き刺さっているカッターを恐る恐る目で見る。
シューっとまるでアニメのような煙が湧いている。
真維さんは天使のような笑顔で。
「あら、隼人くん。あなたって浮気者なんですね!」
「か、顔と言葉があってないんですけど……?」
「そうですよ、真維。隼人はあたしのおっぱいで埋もれて死にたいんでちゅよね?」
「何その最高の死に方!」
つい、咲美さんのおっぱいを吸う想像をしてしまったのはここだけの話だが、そのせいで声に出してしまったようだ。
咲美さんもまた天使のような笑顔をしている。
「れ、玲は……お、おっぱいはあ、ありません……で、でもっ、それでもっ、れ、玲のでよければ……」
上から目線でごめんだけど言わせてもらおう!
あらかわいい!
な、なんなんだ……この周りに張り合う幼そうにおどおどしているかわいい人は!!
失礼だが、これが高校生だと……!
どうやら、LINEでは明らかに弥美さんにみんないくと思ったが俺のようだ。
まあ、傍から見たら完全に俺が弥美さんに抱きついているように見られたからかもしれない。
こう見えて、俺はこの四人からはモテている。
もうこれは紛れもない事実だ、俺は鈍感主人公なんかじゃないのだ、素直にこのハーレムは受け入れるとして。
問題は俺にみんないっていることにより更なる修羅場化となっている。
あのLINEが誤解だということはもう素直に受け入れてはもらえないだろう。
くそ、あの時ミスっていなければ……もしかしたら、翔子さんと付き合えたかもしれない。
そう思うと更なる後悔が俺に襲いかかる。
全部悪いのは自分のため余計にだ。
弥美さんが三人の方に歩き、こちらをスカートをふわっと揺らし笑顔で振り向き。
「ボクとの続きは今度にするとしよう……今度は、ヒーラギの童貞もいただくよ」
どうやらこの集団には真維さん以外下品なやつらの集まりらしい。
おうよ、楽しみにアソコがしているぜ!
いや、嘘だからな?
その場のノリ的なやつだからな?
弥美さんは三人の方を向くと、コテンと三人から殴られ。
「うっ──痛いよぉ」と頭を抑える。
おいおい、お前らのしばくってその程度なのか?
もっとやれー!
弥美さんの痛がっている姿可愛いから俺にもっと見せろ!
「今回は隼人くんが悪いから特別許します」
「良かったね、弥美!」
「れ、玲は……元から弥美さんは悪くないって信じてました!」
……どうやら、この件は俺が悪いらしい。
まじかよ、どうなってんだよ、全く。
四人は丸くなり何かを話し出す、そして時間にして二分ほど、こちらを振り向いて、みんな笑顔で。
「ねえ、隼人くん?」
「あたしたちは考えたの」
「れ、玲たちは隼人さんが大好きだから──」
「二年生の最終日に──」
「「「「(私)(あたし)(玲)(ボク)の誰か決め(てください)(てね)(るんです)(てよねえ)」」」」
「はは……」
この笑えない状況に俺は笑うことしかできない。
ああ……なんで俺の青春はこううまくいかないのだろうか?
──ああ、誤解を解くには長い時間かかりそうだぜ。
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