これだからモテ男はつらいぜ
「ふう〜」と湯が張り、湯気が立っている風呂に入るとザブンと勢いよく湯が溢れ出す。
き、気もちぃ〜。
一瞬にして蓄積した疲れを癒していくれているという実感が湧く。
今日一日は今までで一番濃い一日だっただろう。
口元まで湯に入れて、ブクブクと吹く。
め、めんどくさいことになっちまったなあ……。
しかし、弥美さんの言っていた翔子さんのことが頭から離れないんだが。
なんなんだよ『あの目、あのヒーラギと会った時にした表情……本当に好きな人と会うと感じる子宮が疼くような……下半身の変な感触を感じてる目だったよ』ってよ。
え、期待していいやつなの?
スマホの画面を開き、LINEのアイコンを触る。
「と、とりあえず、あれは誤解って説明するべきか?」
トーク履歴の一番下にある四月十三日と日付が記された翔子さんとトーク画面を開く。
たしか、一年前の入学式の日の時だったな。
翔子さんと最初で最後のトークをしたのは……そして、彼女を好きになった日は。
そこには。
『今日はありがとう』
『ううん、全然平気(o^^o)』
お、俺のばかやろー。
あの時ここで終わるんじゃなくてもっと会話をしていればもしかしたら……自然に告白できたしこんな変なミスしなかったのにいいいいい!
「い、言うべきだよな……」
誤解ですと。
なんで私に誤解ですなんて言うの?
これが多分返ってくる返事だろう。
だがしかし、弥美さんが言っていたことが本当なら……変に誤解させたままでは俺の恋は一生叶わないということだ。
な、なら──。
『久しぶりです、柊ですけど。今日のあれは誤解です』
というところまではいったものの。
【送信】ボタンが押せない。
ま、待てよ俺……もしここでこの文章を送ったとしよう。
そうするとどうなる?
もしこれで誤解が解けて翔子さんと関係が進んだらどうなる?
結論は簡単だ。
"あいつらが黙っていない"だ。
あいつらはみんな俺のことが好きなのだ、それなのに俺があいつらとではなく翔子さんと関係を作ってしまったら怒るに決まっているだろう。
俺だってそうだ。
もし翔子さんが他の男と俺以上にいい関係になっていたら嫉妬するに決まってるだろ。
現在進行形でそういう奴らに嫉妬しているわけだし……。
急いでメッセージを消す。
くそ、それじゃあまずはやはり奴らからの攻略なのか?
正直無視しているからだが……奴らからのLINEが激しいんだが。
マナーモードをオフにした途端、ブーブーという通知オンが休む暇もなくなりだす。
「これだからモテ男は大変だぜ」
なんとなくだが、モテるってハーレムできる分それなりの代償がありいいものではないと感じ始めてきている。
両親よ、イケメンじゃなくて普通の顔で産んでくれてありがとう!
イケメンで産まれてもっとモテていたら多分、俺を争って殺し合いでもすんじゃねえのか?
「さてさて、この通知たちをどうするか……」
『隼人くん!? だ、大丈夫……? 全然返事くれないけど? あの時のあのメッセージは私へのだよね。そんなのわかっているわ。もし仮にその件で悩んでるなら連絡ください』
ああ、その通りだよ。
あの時のあのメッセージの件で悩んでるんだよッ!
でもな……言えねーよ、お前たちのせいで悩んでるなんて言えねーよ!
相談できねーよ!
『返事ください! あと……あたし、絶賛豆乳風呂です!』
と、画像が……。
そこには真っ白な……豆乳風呂に……デカイ谷間? ……咲美さん視点の写真が……。
速攻保存。
あ、あざすッ!
『玲、隼人さんから早くメッセージが欲しいです! ゆっくりでいいですから……玲、話がしたいです!』
俺も……玲さんとならLINEをしても……。
【黒川弥美から通知が来ました】
……い、嫌な予感が。
恐る恐る、弥美さんのトークに飛ぶと。
『愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる。早く返事欲しいなああああああ』
「うおおおお」
わかっていたのに、それでも心が準備が完全にできていなかったようで大声で驚き……そのまま。
ポチャン。
「あ」
湯の中にスマホを落としてしまいまった。
「あああああああ──ッ!!」
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