怪しい光が里山を彩る伝奇譚が幕を開ける

「その里では恋した女は光る」そんな伝承を調査しに向かった主人公。
深山で怪我を負い行き倒れ、1人の子供に助けられることに。
少女の名は阿古。怪我が治癒するまで里へと滞在する事になった主人公だが、何やらこの里は秘密を抱えているようで――

阿古。五十音の始まりである「あ」の字を持ち、密教においては「『阿』こそが始まりであり、全てである」とみなす阿字観のシンボルとなる「阿」字を持つ少女。
まさに物語を始めるのに相応しい名を持つ少女を中心として、里山が動き出します。

東国遥野郷の最奥、安是の里。恋する女はその身から光を発す。その姿はさながら蛍。光の色は、情念(いろ)に通じ、女ごとに異なるとも。
深山の女が織りなす光が絡み合う、幻想的であり、容赦のない伝奇譚が幕を開けます。

安是の伝奇譚の、そして、阿古の始まりである赤い雨の物語。ぜひご一読を。

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