死者たちのくれた温もりが、生者たちの心を蘇らせ、熱く靭く突き動かす

文句なしに面白かったです!すごい!

真っ先に言えるのは、登場人物がものすごく魅力的だということ。
個性豊かで温かな生屍(アンデッド)たちが、みんな素敵です。
そんな彼らに見守られるコミュ障死霊術師のデュレインと、逃亡中の王女スノウリアの心の交流と再生が、本作の大きなテーマとなっています。

デュレインはなぜ生屍ばかりと暮らし続けているのか。
どこかコミカルで楽しい前半部分から一転、彼の哀しい過去に触れた辺りで、もうこの物語から目が離せなくなっていました。
過去に囚われるより、前に進むべき。
そんな当たり前のことが、これほど難しく耐えがたいと感じた話はありませんでした。

細やかな心理の動きのみならず、後半部分にかけての激しい戦いを描き出す、重厚で熱い筆致も素晴らしいです。
それぞれの決意と覚悟、そして震えるほどの魂の力を感じました。
クライマックスでは、何度泣いたか分かりません。

明るい未来が見える爽やかなラストも最高です。
本当に良い作品を読んだ。そんな充実感でいっぱいです。とても読み応えのある、素晴らしい物語でした!

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