迷子と林檎

日常に潜む哀しい出来事を優しく包み返した中編「詐欺師にアップルパイを」。こちらで下剤入りアップルパイを食べる羽目になった詐欺師こと東雲さんと、食べさせる羽目になったテリちゃんのその後を描いた作品です。本作も日常系ミステリの素敵な小品といった面持ち。テリちゃんが偶然出会った男の子のお世話を焼きます。りんごを買いに行きたいという男の子はどんな事情を抱えているのか。東雲さんとテリちゃんの微妙な関係性も相まって、一筋縄ではいきません。

ミステリ好きのテリちゃんは、照りの良いアップルパイでこれからも東雲さんを照らし続けてくれそうです。そんなアップルパイの中には、どんなりんごが秘められているのでしょう…続きを読む