和の香り色濃く綴られた御伽噺、空蝉の旅路、お日柄も良く?

スキマ参魚さんが書く昔話、それは何処までも残酷であり、それでも尚美しさが色あせない素晴らしい短編です。
室町時代、軽快に琵琶を鳴らす旅の坊主はとある山道で一人の男と出会い、道先を共にする。
旅の坊主は不思議な外見をしており、なにより大きな大きな葛籠が男に興味を持たせる。
鬼が出ると噂のある山の道すがら坊主は語り始めた……とある鬼の話を。

短編の中に盛り込まれた御伽の要素にすっかり心奪われてしまいました、時代に対して深い理解度が無ければこれ程の文脈を書くことは出来ません、スキマ参魚さんの力量に驚くばかりでした。
昔話が好きな人、そうでない人でも一見の価値が十二分にある大和の一幕、是非とも読んでみてください。

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