105 カバヤ児童文庫補遺:【2024年3月15日限定近況ノートから】

★こちらは2024年3月15日公開分の限定近況ノートの再掲です。ご覧の通り遅刻してました。すみません。


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「遅れてすみません!3月16日【15日はおまけコーナー】【今月は兼先行公開】『倉沢の読書帳。』補遺『カバヤ児童文庫の世界』紹介」


15日のおまけコーナーです。


一日遅れまして、すみません。


以前『倉沢の読書帳。』で『おまけの名作』、カバヤ児童文庫を取り上げ、おかげさまで好評でした。


●55 カバヤ文庫のはなし。①(*追記してリンクを追加しました!)

https://kakuyomu.jp/works/16816700426989514413/episodes/16817330664788167046


で。先日部屋を片付けていましたら、あれ? 『カバヤ児童文庫の世界』??


資料が発掘されました。部屋が散らかっていてお恥ずかしい。


せっかくなので、こちらで先行公開、半年後に『倉沢の読書帳。』で公開します。


●『カバヤ児童文庫の世界』岡長平(編著)岡山文庫288 2014年 日本文教出版


編著者の、岡長平は執筆時、岡山県立図書館副館長。


『倉沢の読書帳。』でもご紹介しましたが、岡山県立図書館は、「デジタル岡山大百科」でカバヤ児童文庫をデジタル公開しています。


県立図書館ともなると、地域資料の調査研究が仕事の一部ですので、本書もその成果と言ってしまうのは簡単なのですが、やはり地元企業の「キャラメルのおまけ」と低く見られがちだったカバヤ児童文庫を資料として価値を認めたのはなかなかできないことだと思うのです。


そんなリスペクトとともに、本書の紹介をしていきます。


本書は最初に『おまけの名作』ほか資料をもとに、カバヤ児童文庫の成立背景を説明、それから現在現物が確認できるカバヤ児童文庫の全作品を解説している労作です。


『おまけの名作』以降の本ですので、背景について新たな記述もあります。


出版点数につき、『おまけの名作』では全159点?と、推察されていましたが、岡はそこをさらに掘り下げ、予告はされたものの、実際は出版されなかったと考えられるタイトルの存在を指摘します。


予告を含めると全174点が刊行されたはずなのですが、うち43点が実際の刊行が確認されていないということです。


また、岡山県立図書館副館長ですので、図書館でカバヤ児童文庫収集をしたときの興味深い経緯も書かれています。


坪内稔典『おまけの名作』(1984年)と同じ年の夏、岡山県総合文化センターの整理課長山田茂氏は、市内のデパートで開かれた古書市でカバヤ児童文庫初期の61点を発見します。


〈「岡山の一企業が出した郷土資料としての価値もあり、またテレビ時代前夜の子どもたちの心をとらえた意義は歴史的にも大きい。冊数もまとまっていることから図書館で収集することにした」〉


と、一括購入、以降は全巻収集をめざします。


この件が1984年11月12日の毎日新聞で報道され、カバヤ児童文庫の元編集者遺族から88冊のカバヤ児童文庫が寄贈されました。「カバヤマンガ・ブック」なども含まれ、姉妹編シリーズを解明する手がかりとなりました。


その後、新たな発見はありませんでしたが1993年7月、山陽新聞夕刊で呼びかけたところ、全国紙にも注目され、103冊の寄贈を受けました。この時点でコレクションは123タイトル、2013年に126タイトルとなりました。


マイクロフィルムへの撮影は1994年に行い、その後デジタル画像への変換が行われました。


そのときカバヤ食品株式会社の協力を得、カバヤ食品所蔵で岡山県総合文化センター未所蔵の5点についてもデジタル化することができました。


2004年の岡山県立図書館の新館オープンにあわせ公開された「デジタル岡山大百科」で、現在確認されている131タイトルすべてがインターネットで閲覧可能となりました。


「デジタル岡山大百科」の成立がわかりました。地元愛が熱い、いいおはなしですね!


ほか本書ではカバヤ児童文庫各巻の解説があり、こちらも労作です。


しかしカバヤ児童文庫、当時流行した児童文学全集には入らないだろうなあ、という作品がこんなに入っていたのか、と、あらためて驚かされます。


なんだか、聞き捨てならないものをひとつ、見つけました。


〈●9・5『ロビンフッド二世の活躍』パイル作 山本修二序文 昭和28年7月21日発行〉


9・5は、9巻5号を意味します。

ロビンフッド二世なんていたのかな。

解説を読みます。


〈アメリカの作家パイルが一八八三年に書いた小説。第一巻第十二号に収録されなかった物語を収録するもので、実際の物語にロビン・フッド二世が、いたのではない。〉


いない(笑)


たしかに第一巻第十二号は『ロビンフッドの冒険』なのですが、そこに収まらなかったエピソードで一冊作るという話なのに、なぜか、二世ということにしてしまった(笑)


そういうの、面白いですね。


また来月!

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2025年4月15日 00:00

倉沢の読書帳。 倉沢トモエ @kisaragi_01

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