第9話 台湾良いなー
[まえがき]
この度拙作『真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?』が中国語に翻訳され、台湾角川(https://www.kadokawa.com.tw/)の新プラットフォームKadoKado(https://www.kadokado.com.tw/)で公開されることとなりました。それを勝手に記念して書きました。
2019年10月18日に無印の『巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?』をなろうに投稿して丸2年。思えば遠くへ来たもんだ。歌詞は全く関係ありませんが、海援隊、https://www.youtube.com/watch?v=cPdJj7mUt0I
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「マスター、今度は何を視てるんですか?」
「また面白そうなアニメを見つけたんだよ」
「受験生が深夜テレビアニメを見ててもいいんですか?」
「良いんじゃないか。ちょっと休憩して息抜きしてリラックスしてただけさ」
「よくわかりませんが分かりました。それでどういったアニメなんですか?」
「俺みたく異世界に飛ばされた主人公が、俺とは全く逆の辛い環境の中で圧倒的な力を自力で手に入れた後、元居た世界に高校1年生として戻ってくるんだ。
深夜アニメだけあってかなりエグい内容だけど、面白い。次週の予告だと次回は主人公たちが台北に行って食事をするなごみ回みたいだ」
「台北というと中華料理ですね。一度は行ってみたいものです」
「予告じゃわからなかったけど、あの主人公だから、テレポートみたいなので飛んでいくんだろうなー。収納も凄いけど、テレポートもいいよなー」
「テレポートがあったとして、外国への行き来で入出国の手続きはしないんですか?」
「それはしないだろ。テレポートで行き来する窓口なんてどこの国にもないんだから、どこで手続きするのかも分からなだろ。それに手続きする間にいってこれるんだもの」
そういったあまり意味のない会話をアスカと交わし、しばらくして受験生の俺は睡眠が大切と言いながら、歯を磨いてベッドに潜り込んでしまった。この季節になると、室温が下がってくるので、布団に入って温かくなるとすぐに眠ることができる。いい季節だなー。
寝ている自分でも明らかに夢と分かる世界に俺はいた。なぜ明らかなのかというと、周りの景色がアニメの背景だったからだ。
ここは俺が一度も訪れたことの無い街だ。幸いなことに俺の左後ろにいつものようにアスカが控えていた。
「マスター、ここはどこでしょう?」
「アニメの世界ということだから、夢の中は確定だ」
「マスターの夢の中として、どこかモデルになった街があるのでは?」
「そうだなー。ここ最近気になった街というと、そうだ! ここは台湾の台北じゃないか?」
「そうだとしたら大変です。好き勝手に高級レストランに入って好き勝手に高級料理が食べられるわけですよ」
「その通りだけど、夢の中だから、味が再現されているかどうかは微妙だぞ」
「味が再現されていると思い込んで食べれば再現されるのではないでしょうか」
「その可能性はあるな。美味しい美味しいと思えばいいわけだ。
おっ! あそこに見える屋根のついた大きな赤い建物は何だ?」
「おそらく
「大飯店というところをみると、レストランなのかな。それにしては大きいな」
「マスター、大飯店というのはホテルのことのようです」
「なんだ。期待したのに」
「ちゃんとしたホテルですから、中には中華レストランも入っていると思います」
「それはそうか。じゃあ中に入ってみるか。いまから美味しい美味しいって唱えておこう。
美味しい美味しい。アスカも唱えていた方がいいぞ」
「美味しい美味しい」
……。
夢の中なので「美味しい美味しい」と唱えていたら、いきなり俺たちはホテルの中にいた。
「ほう、夢の中のアニメ世界に関わらずホテルの中も立派だな」
「その先の階段を2階に上がると中華レストランがあります」
「アスカ、良く知ってるな」
「ここはマスターの夢の中ですから、大抵都合よくなっています」
「それはそうだ」
2階に上がった先にはアスカの言った通り中華レストランがあった。中に入ると、脇にスリットが腰まで入ったひざ丈の赤いチャイナドレスを着たお姉さんが俺たちが何も言わないのに、個室に案内してくれた。夢だから以心伝心なのか、さきほど俺たちがいきなりホテルの中に現れたように、進行を早めるため巻いているのだろう。
大きな丸テーブルにアスカと二人で並んで座っていたら、ここでも何も注文していないのに料理が運ばれてきてテーブル一杯に並べられた。
「こんなには食べきれないな」
「残したところで夢ですから」
「もったいないから収納できないかな?」
「収納できるのではないでしょうか? その代りこの夢がさめれば無くなっていると思います」
「それはそうだよな。それなら、頑張って食べるしかない」
「食べ過ぎても夢ですから何ともないと思います」
「何でも夢で片付くから便利だよな。誰がとは言わんが」
「全くです。あえて誰かとは言いませんが、その誰かのおかげで私たちが存在しているわけですから、少しくらい感謝してもいいかもしれません」
「感謝ねー。そういえばアスカ、その誰かから夢の中のお告げでな」
「お告げですか」
「そうお告げ。言い方を変えればご都合主義的宣伝?」
「それで、どういったお告げでしょうか?」
「実は、俺たちの活躍が中国語に翻訳されて『台湾カドカワ』で閲覧できるようになるらしい」
「確かにご都合主義的な、無理やり感満載の
「まあ、そういうなよ。その誰かにも都合があるんだろうからな」
「そうですね。それでは私も宣伝モードに切り替えます。
『真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?』既読の方はありがとうございます。ここまでこの本編の付録を呼んでいらっしゃる方で本編を未読の方はあまりいらっしゃらないでしょうが未読の方は是非お読みください。
マスター、私のCMモードはどうでした?」
「なんだか、一気に通販番組になったような気がした」
「褒められたと理解しておきます」
「おっと、そろそろ俺は目覚めるみたいだ」
「それではマスターまた後で」
「アスカ、
「そのせいで、マスターはブツブツ寝言を言いながらニヤニヤしてたんですね」
「なんだよ、アスカは俺の寝顔を見たのかよ」
「ただの想像です」
「そうなのかよ。まあいいや。
俺が大学に受かって、入学までの休みの間にでも台湾に行ってみようか?」
「良いですね。マスターの夢の内容なんかはどうでもいいですが、そのためにもちゃんと受験勉強お願いします」
「どうでもいいのかよ。
「マスターがいくら無駄に高いステータスを持っていても、勉強してこそそういった能力が生かされると思います」
「無駄で悪かったな」
[あとがき]
『真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?』の台湾版の宣伝と、自作で台湾の街が1話だけ登場する『異世界で魔王と呼ばれた男が帰って来た!』https://kakuyomu.jp/works/1177354054894079776 をついでに宣伝しておきました。
真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!? IF 山口遊子 @wahaha7
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