見えなかったのではなくて

作者は非日常を流麗に描写することを得意とする人。本作は一般青年の一人語りという形式を取るため文の装飾は抑えめですが、作中にはきちんと非日常が待ち受けています。

想い出は丸きり忘れてしまうと意識に昇ってこなくなります。昔のことだから。生活が忙しいから。いろいろ理由はつきます。でも、それだけ? 見えなかったのではなくて…… 答えは作中に探してください。

夏の夕べは郷愁を呼びます。作中にあるように去年と今年の夏は今までできたことができない寂しい夏ですが、過去に想いを馳せることは昔と変わらずできるのではないでしょうか。

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