自己主張はありません。野晒しの骨のように。

本作を読み進めていくと物語として起伏がないことに気づきます。カクヨムでは「いいね」の数と賞レースでスタートラインに立てもしない構成でも、実験作を数多く送り出してきた作者様にとっては意図あるものです。

生きている人物が記述しているはずの文章が、極めて淡泊で、無味無臭。まるで野晒しの骨のように。

もしかしたらメモを取る段階から既に骨のみ残っていた? 物理的には有り得ませんが運命論から見れば外れていないようにも思われます。

ただ、どうか結末までお読み願います。何があったのか、誰もわかりません。読者が皆「分からない。でも恐い」と口を揃える結末です。免罪符のような「諸説あります」など吹き飛ぶような。

人は、いずれ死にます。その道を歩む姿が、くっきりと見えます。

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