第8話 どんな時でも月は美しく輝く

高千穂で幼馴染みと二人で旅行する予定が、想像も出来なかった手痛いハプニングが起きてしまって、幼馴染みあいつと現地で約束していた時間に大幅に遅れて、結局 一人で高千穂を楽しむ事になってしまった。

いや、本当 まさか電車内と駅のホームでと、二度も寝過ごしてしまい、電車に乗り遅れてしまうなんて・・・・・・

いつもの幼馴染みあいつなら

「またかよ?仕方ねぇなぁ・・・・・・」

と、許してくれるのに、今回は凄く怒った様で、幼馴染みあいつの携帯電話の電源が、ずっと入ってなくて、電話が繋がらない。

LIMEに送ったメッセージも、未読のままだ。

そこまで怒らなくても良いと思うんだけどな。

遅れたって言っても、一日と数時間程度だし・・・・・・


今は東京へ新幹線で戻る途中だ。


そうそう。やっぱり俺が悪かった訳じゃ無かった。

新幹線や在来線での移動中、暇だからずっとタブレット端末をいじって楽しんでたら、タブレット端末のバッテリーが殆ど無くなって、普段からあまり充電しなくても困らないガラケーも、バッテリーが空になると言う、予想外の事態になってたから、幼馴染みあいつに連絡が取れなかったんだ!!

バッテリーさえ残量が残っていたら、こんな事にはならなかったんだから、俺は悪くないよね。


はぁ・・・・・・

たっぷり観光して美味しい物を食べたから、動くのが怠い。


「もう少しで品川かぁ・・・・・・ 降りる準備をしなきゃな」


品川で在来線に乗り換える。

旅行って、毎回 行く時の気持ちの高揚感が凄いけど、その分 帰りの現実に引き戻される感じと、疲労感が半端無いよね。

帰りの無い旅とか有ったら、高揚感が続いて、ずっと楽しいんだろうな。



在来線も乗り換えたりして、自宅に戻る。

親に高千穂のお土産を渡して、きっと自宅に戻っている幼馴染みあいつに会って詫びる為に、幼馴染みあいつの住む実家に向う。


「こっ・・・・・・こんばんは・・・・・・」


「あら?こんばんは、いらっしゃい。二人で一緒に帰ってきたの?」


「えっ?まだあいつは帰ってないんですか?」


「えっ?一緒に高千穂に行ったんでしょう?」


おかしい。この時間になっても、幼馴染みあいつは自宅に帰ってない。


「あの・・・・・・俺 電車で寝過ごしてしまって、あいつとの待ち合わせの場所に、時間に遅れてしまったんです」


「はぁ・・・・・・ またなのね?」


「うぐっ・・・・・・ はい・・・・・・ また です・・・・・・」


「あの子とケンカしたの?」


「いえ・・・・・・ずっと合流出来なくて・・・・・・ 電話しても電源が入って無いんです。LIMEのメッセを送っても、未読のままで読んでくれないんです」


「ああ、かなり怒ってるのかな?まあ、あの子が帰ってきたら、あなたがお詫びに来たって伝えておきますよ」


「はい。すみません」


「帰ってきたら連絡入れますからね」


「はい。ありがとうございます」


でも、おかしい。

おふくろさんも薄々変だと気が付いている筈だ。

もうそろそろ戻ってないと、終電がなくなってしまうからだ。

まだ終電の時間まで少し有るけど、幼馴染みあいつがこんなに遅くなるって、普段無い。


もう一泊 旅行を伸ばしたのかな?


でも、旅行の日にちを伸ばしたのなら、おふくろさんに連絡が無いって、幼馴染みあいつの性格的に変だ。


そもそも、あのスマホ中毒の幼馴染みあいつが、ずっとスマホの電源を切っているって・・・・・・

あんなにいつもスマホを弄っている奴なのに、怒ったからって、そんなにずっと電源を切ってられるのだろうか?





プップップッ

『現在お掛けになった電話番号は、現在電源が入っていないか・・・・・・』


プッ


やっぱり電源が入っていない。





もう夜中の二時になる。

一時過ぎが最終だから、もう帰ってなきゃおかしい。

幼馴染みあいつのおふくろさんから、連絡が無い。




窓の外を見ると、雲がほどんどなく、きれいな月が出ている。

何事も無ければ良いんだけど・・・・・・






----------<小説 ここまで>----------

この小説は、「異世界『ながらスマホ』事情」と言うタイトルの小説の派生の物語です。

宜しけれ「異世界『ながらスマホ』事情」も読んでお楽しみ下さい。

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