これは、心を求める者の物語。

衝撃的なシーンから始まる、この物語。
人ならざる者が、人に惹かれ。
知り得ない感情を自らのものとするために、様々な障害を乗り越えていきます。

文章力の高さもさながら特筆すべきは、この物語に籠められた熱量でしょう。
紡がれていく文字の端々から感じる、あまりにも熱い情熱が、否応なしにこの世界へと読者を引き込んでくれます。

戦闘描写が詳細でダイナミック!
魔術の詠唱、その影響を受けた目を見張るほどの光景が、余すところなく表現されています。強大な魔術に呑み込まれ、時には息苦しくなるほどに。

また、人物描写も秀逸です。
美しさ一つとっても、様々な引き出しを持っておられるのがよく分かります。
人物の感情表現も多彩で、登場人物たちの感情の昂ぶりは、読者の胸に深く突き刺さることでしょう。
世界設定も精緻であり、散りばめられた知識の数々には唸らされます。

主人公である「永」が、自身の存在を確かめるかのように求める、人としての心と感情。
真っ直ぐな眼差しでそれを得ようとする「永」が、とても愛おしく思います。

この壮大な魔術劇の中、懸命に生きる者たちを、あなたも見守ってみませんか?

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