衝撃的なシーンから始まる、この物語。
人ならざる者が、人に惹かれ。
知り得ない感情を自らのものとするために、様々な障害を乗り越えていきます。
文章力の高さもさながら特筆すべきは、この物語に籠められた熱量でしょう。
紡がれていく文字の端々から感じる、あまりにも熱い情熱が、否応なしにこの世界へと読者を引き込んでくれます。
戦闘描写が詳細でダイナミック!
魔術の詠唱、その影響を受けた目を見張るほどの光景が、余すところなく表現されています。強大な魔術に呑み込まれ、時には息苦しくなるほどに。
また、人物描写も秀逸です。
美しさ一つとっても、様々な引き出しを持っておられるのがよく分かります。
人物の感情表現も多彩で、登場人物たちの感情の昂ぶりは、読者の胸に深く突き刺さることでしょう。
世界設定も精緻であり、散りばめられた知識の数々には唸らされます。
主人公である「永」が、自身の存在を確かめるかのように求める、人としての心と感情。
真っ直ぐな眼差しでそれを得ようとする「永」が、とても愛おしく思います。
この壮大な魔術劇の中、懸命に生きる者たちを、あなたも見守ってみませんか?
この物語には二つの「無」が登場します。
ひとつは「虚無」
その身は現世(うつしよ)にあれど、そこに在らず。その目はひとの見るべきものを視ず、ひとには視えざるものを視る。
ただ望むは、ひととしての「生き方」「在り方」
ひとつは「無垢」
その身は現世(うつしよ)に降臨せし幽世(かくりよ)の器。その耳は現世に満ちる数多の音を聴き、真実を照らす。
ただ「虚無」に寄り添いて世界の在り方を知る。
虚無と無垢、ふたつの「無」が出会うとき、物語は幕を開ける。厳かに・・・そして激しく!
流麗な文章に、流れるような戦闘シーン。満たされしものと、満たされざるものが織りなす現代奇譚
純粋に文章のリズムを楽しんでみたい方にもおススメです。
物語はまだ未完ですので、このくらいで・・・
ちなみに私は一気に読み終えました。
鉄とコンクリートに囲まれた空間で、手首に打ち付けられた杭、足に纏わりつく鎖。自由の利かない空間で彼女は死を迎える。
何度も……
衝撃的なプロローグから始まる物語の主人公『麻上 永』は15歳。何度も死を迎えた日から時が経ったある朝、図書館へ向かう為バスに乗る。
不幸にもそのバスがバスジャックにあったとき、彼女の取った行動とは?
ここからは是非本編を読んで確かめていただきたいです。永の持つ能力、味方や敵が扱う能力の数々。そして巻き込まれていく事件に潜む影。
現代社会の裏で行われる能力バトルは派手さもあるが、どちらかというと頭脳戦メイン。この駆け引きとギリギリ感は、読んで味わっていただきたいオススメのポイントです。
そして、空虚な瞳を持つ永が、心を持つことを渇望し、葛藤する姿。淡々と語られる彼女の言葉の中にある心の揺れを感じ、彼女の行く末を見守りたくなる作品です。
是非一読をオススメします!