旗本の三男坊で穀潰しの身だった源之助。入婿となることが決まり、独身最後の廓遊びに訪れたその日、女と見紛うほどの美貌を持つ義賊、紅天神と運命的に出会ってしまう。mono黒様の、手触りや匂いまで伝わってくるような官能的で美しい描写にいつもうっとりしてしまうのですが、今回の短編も、その力量が存分に発揮された傑作です。江戸時代の封建社会に生きている人間だからこそ持つ葛藤も生々しく描かれており、とにかくBL好きもそうでない人も全員読むべし!
舞台は江戸の遊郭。艶やかな雰囲気たっぷりに語られる、粋な大人の世界。そんな夜に、偶然出会う二人。嗜みとしてのオトナの遊びから、それはふと、互いにもう少し深い場所へと踏み込んで……すべてのことが、運命的で刹那的。美しいことも残酷なことも輝いて見えます。読み終えると、キリキリと切なくも、まぶたの裏にはっきりと残る花火の光のような残像に、しばらく胸が締めつけられます。
うだつの上がらない三男坊の源之助。世間を騒がせる義賊、紅天神。本来は出会うはずもない二人が、出会ってしまったことで物語は動き出す。短編なので、あまり書くとネタバレになるので悩みますが、ともかくですね。あー、もうですね。キュンキュンと切なくなります。切ない系BLをお探しの方にはもってこいだと思います。私個人の好みとしては、凛々しくて男前の源之助さんが一押し!最後まで一本通っていて、かっこいいんですー。
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