女神様が繰り返したヤラカシにより、死んで輪廻の流れに戻す訳には行かなくなったしまったランス君の人生を描く作品。
あらゆる能力、祝福、加護を得たものの、本人は死んで母の元に行きたがった。
しかし女神による誓約違反により、そのまま死なせると世界が滅ぶ事態に。
無理矢理生き返させられ、預けられた武と魔術の師匠たちとの暮らしの中で自分なりに生きていくことを決めたランス。
見た目は年端の行かない子供に過ぎないランスだが、桁外れの能力と生み出す利益につられ多くの悪意ある人間に絡まれ続ける。成人する迄は能力の大半を封印しているものの現状でも理外の力を保有するワンマンアーミー。
行く先々で悪意なく力を見せてしまっては悪意ある人間に絡まれてしまう、ある意味で一話完結で繰り返すアンパンマンみたいな感じもする。皆懲りずに絡んでくるのでばいきんマンみたいな感じだろうか。
物語のキッカケが女神のヤラカシによるものもあるのか、この世界の人間は物分りが悪く、自分の都合を押し付け続ける者が多い。
同じような展開が繰り返すのでストレス耐性が必要なのと、改行が少ないので読みにくいのが難点。
しかしそれを補って余りある魅力が本作にはある。
皆コメント欄でツッコミ入れつつも次回更新を待ち望むツンデレなファンばかりなのだ。
この作者様は、子供の思考回路を描写するのが、とても上手いと思います。
常識と道徳を知り、強さこそが正義という小学生高学年の男の子が誰でも通る憧れを体現し、それでも実際に力に訴えると「どんな理由があろうとも暴力を振るった者が悪い」という周囲の常識的な大人達による、暴力に訴えなければならなかった子供からすると理不尽にしか感じられない同調圧力。
こんな理不尽の中で、心の中で愚痴を言いながら、子供ならではの「ぶっころす!」的な強い言い方をしながらも、理性的にトラブルを乗り越えようとする主人公とかんじます。
ただ、世界観が、世紀末的なガチ中世なので、ともすれば主人公に対する児童虐待or搾取にもとれる描写が含まれる作品でもあります。
ちょっと、そんな主人公に共感しすぎた人たちに作者様は絡まれているようですが、とても素晴らしい作品ですので、このまま走り続けて欲しいです。