扉の向こう

2021年、夏。

少しだけ大人びた少年――神代　稔
いつまでも幼心を忘れていない少女――柏木　美空

二人は一つの秘密を共有する。


小学生の間で「広場の中は別の世界が広がっている」と噂に名高い、高い塀に囲まれて中に入ることが出来ない広場。何の変哲もない、シロツメクサの生える草原が広がるその広場には、外からでは分からなかった大きな穴があった。

地下へ続く階段がどこへ繋がっているのか。

たまたまそれを見つけた稔が幼馴染の美空にその話をしたことがきっかけで、「秘密」を共有することになった。

この穴は、彼らを別世界へ誘うために存在する。