第2話 何も無い 自分自身さえも無い 何も無い世界
「えっ?ここどこ?」
自作のファイル転送アプリからファイルを送信した瞬間、見た事の無い所に移動?いや、もしかしたら急病で五感全てが感じられなくなったのかも知れない。自分自身の肉体さえも知覚出来ない。でも、意識は有るし、自分自身の存在は感じる。
夢でも見ている様な不思議な感じでもある。
『あれ?君は誰だい?』
あっ?ええっ?自分以外の感情や意識を感じる。
外側?から直接 考えが伝わって来た感じで、少し気持ち悪い。
何だろう?誰かが俺に話し掛けて来たのかな?
『そんな感じだよ』
うわっ!?返事が有るし!誰だよお前!
『突然 君の方が、ここに現れたのにその対応は無いんじゃないかい?』
えっ?そうなの?
『そうだよ。突然 君はここに来た』
と言うか、ここはどこ?あなたは誰?
『ここは・・・・・・君の知識で言うと、異世界と言うものかな・・・・・・私は・・・・・・君の知識で言うと、超常の存在、人智を超えた存在、神様的なものかな・・・・・・』
ヲイ!冗談が過ぎる!
異世界って!異世界転生?異世界転移?どっちか知らないけど、有る訳無いじゃん!
神様的なって!召喚されたの?俺!?
『冗談・・・・・・では無いね。君も元の世界とは違う感じがするのは解ってるんじゃないかい?そして、君の知識の中で、一番 近いモノとして、神様的なものだと説明しただけだよ。でね?私は君を召喚など、この世界に連れて来ていない。君が突然 この空間に現れたのだよ』
えっ?何がどうなったの?
『ふむ・・・・・・どうやら、君が自分で自分の事を転送させた様だね。君の現れた場所に転移の痕跡が残っているよ。何か思い当たる事はないかい?』
転送?転送って、アプリでファイルを転送しようとしていたけど・・・・・・まさかそれが原因で・・・・・・とか無いよな!?
『ああ、それだね。君の知識に合わせて説明すると、それが異世界への転移の魔法陣として作用した様だよ』
えーーーーーーっ!?自分で自分を転移させたの!?俺!?
『そうなるね』
こんな何も無い所に!?俺の体はどうなったの!?
『正確には、君は転移の途中だよ。ここは転移の途中の空間だよ。その転移の途中の刹那の間に、私と接触をしている。そして、君の体は、今 エネルギー体となっている』
じゃあ、この後 どこか異世界に転移が完了するんだ!?どんな所にですか?エネルギーになってるって、転移したら俺の体はバラバラになってしまう?いや、エネルギーとして異世界に拡散する?
『そうだね。私が見守っている世界に転移して行くのだろう。どんな所なのかは、自分自身で確かめて下さい。転移後は肉体が再構築されるだろうと思うよ。体と言えば、このままだと話し難いね。自分自身の体をイメージして御覧、仮想的に自分自身の体を具現化出来るよ』
えっと・・・・・・
こうかな?
『そうそう。良い感じだね。そんな顔をしていたんだね。次は、私と話しやすい様に、私の事も話しやすいモノをイメージすると、私もその姿に具現化されるよ』
あ、こうかな?
『そうそう・・・・・・って、どうして私の事を四角い小さな黒っぽい板としてイメージしたのかな?ここは普通は同じ人間をイメージする所じゃないのかな?』
えっと・・・・・・人よりスマホの方が話しやすいので・・・・・・
『ああ、これは君の知識の中に有ったスマホなんだね。でも、お願いだから無機物は辞めよう。どうせなら神様っぽい姿、おじいさんや美しい女性にして欲しいかな・・・・・・』
注文の多い神様ですね。俺 スマホの方が話しやすいのに!
これで良いですか?
『白髪白髭のおじいさんか、これが君の神様のイメージだね』
で、これで落ち着いて話しやすくなった。
さっきの話の感じだと、転移して行っても死にはしないみたいだけど、元の世界に戻しては貰えないの?
どんな所か教えて貰えないの?
『私が戻してあげる事は出来ないね。どんな所なのか、上手く伝えられないかな。君の知識の中の元の世界と較べると、私的には大きくは差の無い世界としか、伝えられない』
こんな時 ラノベだと、神様的な存在が、何か力とかスキルとか神剣的な物とか授けてくれたりするんだけど、これまでの話の流れ的に、転移後に役立つ様な力とか、授けて貰えてたりしないんだね?
『良いよ。私が叶えられる望みなら、叶えてあげよう。もちろん元の世界に帰してあげられないのと同じ様に、私の力を超えた望みは叶えてあげられないけどね』
えっ!?良いの!?
何が叶えて貰えるか解らないけど、俺的には一番 望むのは、スマホ!スマホが異世界で使えないのは、かなり辛い!スマホを異世界で使いたい!
あ、でも、無理?無理かな?スマホって無理?
『その望みなら叶えてあげられそうだよ』
だよね。無理ですよね・・・・・・ってっ!良いの?!叶えてくれるの!?えっ?スマホだよ?大丈夫なの?
『君の知識の中のスマホと言う事なら、転移先で使える様にしてあげられるよ。ただ、もう時間的にそれを叶えてあげるだけで精一杯になるけれど、良いかな?』
はい!お願いします!
『それじゃ行ってらっしゃっい』
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