第10話 長くて太くて硬くて黒い物
三人との話し合いは終わった。
俺はフェムトと二人で先頭を行く事になった。
理由は「アユムほどに強いなら、魔物が襲って来ても、大概の魔物なら撃退出来る」という事らしい。
いや、さっきまで俺を捕縛して連行しようとしてたよね?君達?
と口から出そうなのを抑えて、話を進めた。
何しろ急がないと、領主様の所に着くまでに、暗くなってしまうらしい。
三人の話で、魔物が存在する事が確定したのだから、それが分かっている状態で、日が暮れたジャングルの中を、大人数で歩いて移動したくは無い。
大人数でも強者の集団なら、まだ良いが、戦えない女子供も含めた、しかも男達もガリガリに痩せ細った、餓死にしそうな者ばかりの集団では、その魔物とやらに襲われたら、絶対にゴロゴロと人が死んでしまう。
だから、早く移動を始めたいのだが、シムが
[ここから移動を始める前に、近くに【基地局】設置に適した場所が在りますので、設置してから移動を開始する事を、強く進言します。それと一緒に、この一帯の要所要所への【中継器】の設置を行う事が望ましいとも、進言致します]
と、言うので、【基地局】と【中継器】の設置を、急いで行っている。
それと序でに、崖下には【基地局】や【中継器】などの材料になる黒い石、魔鉱石や魔石や魔鉱らしいが、それが多く有るので、拾って補充している。
それと、巨大な魔物が存在しているのだから、武器もそれに合わせて、巨大な物を生成しておこう。
「この位 どデカかったら、かなり大きな剣が創れるかな?」
落ちている枝と言うには、かなり大きい物を、剣を創造する材料として選んだ。
太さは直径が約30センチ以上は有り、長さも10メートル以上は有る。
枝と言うより倒木だ。
「シム これを巨大な剣に変えてよ」
[了解しました]
手に持った倒木並みのサイズの枝が光り輝く、そしてその光が消えると、俺の右手には、3.5メートル程の長さの長大な真っ黒な剣が握られていた。
最初に作った刀の様な形状の片刃の片手剣とは違い、これは両刃の剣だ。
一番 幅の広い刀身の部分は、約30センチも有る。
「ありがとうシム」
[いえ、どう致しまして]
「なあ?シム?」
[はい。なんでしょうか?]
「今 スマホにアプリがほとんど無いじゃん?
[全てでは無いですが多くは可能です]
「その再現出来ないアプリの理由はなに?」
[例えば、インターネット検索アプリを再現しようとしても、そもそも“まだ”こちらの世界にはウェブサイトが存在しませんので、インターネット検索アプリを再現しようがありません。他の再現出来ないアプリも、同じ様に、現時点の状況では、再現が困難だからであり、状況が変われば可能になるかも知れません]
「なるほどね・・・・・・じゃあ、再現可能なアプリだけでも、再現してよ」
[了解しました]
「三人にあげた端末にも、本人が欲しいと望むアプリをインストールしてあげたいから、アプリストアの再現もヨロシクね」
[了解しました]
「あ、特にLIMEを優先して再現をヨロシク!」
[そちらは既に再現済みです]
「マジで?やった!」
よく使ってたアプリだし、こちらでも在れば便利なアプリなのは間違い無い。
さて、設置も終わり、石も十分に補充出来たから、移動の支度をするかな。
「お待たせ、俺の用事は終わったよ。さっきの話し合いで決まった様に、三人は山賊や捕まってた人達への説明は済ませてくれたかな?」
「済んだよ」
フェムトが答えてくれた。
「なにそれ!さっきの剣や弓もだったけど、その剣はもっとどこから出したのよ!?」
ナノがさっき創った剣を見て騒いでいる。
「袋に入れてた・・・・・・って言っても、信じては貰えないよね?」
「「「当たり前でしょう!!!」」」
三人に全否定された。そりゃそうだ。
「まあ、急いで作ったんだよ。まあ、良いじゃん。じゃあ移動を開始する前に、先ずは山賊のリーダーを呼ぼうか」
「作ったって・・・・・・」
「うん。材料が無いよね・・・・・・」
「まあ・・・・・・連れて来るよ」
三人が山賊を纏めて座らせている所に、迎えに行ってくれた。
「さて、君が山賊のリーダーとの事だけど、君には俺の近くで行動して貰う。山賊の中の誰かが逃げようとしたら、君を殺すし、逃げようとした奴も殺す。これだけの人数だから、そうでもしなきゃ纏まらないからね」
「わかりました」
山賊のリーダーは、さっき創った俺の剣を見て、震えながら返答をした。
まあそうなるよね。
「ナノとピコの二人は、後方で山賊に捕まってた人達を補佐しながら、後方の警戒をお願いね」
「おうよ!任せとけ!」
「うん。頑張る」
ナノは威勢よく返事をして、ピコも気合を入れている様だ。
「定期的に電話で連絡を取り合おう。15分毎で良いかな?」
「えっ?15分ってなに?」
「うん。なにそれ?」
あ、そうか、元の世界と違って、こちらは分って時間の単位が解らないか・・・・・・
「時間の間隔の事なんだけど、分からないよね。じゃあ、俺から定期的に電話をするよ」
「わかった!」
「何か有ったら電話する!」
そう言うと、二人は山賊に囚われていた人達の所に歩いて行った。
牢から出してやったのは三人だ。
俺はその間に山賊の監視などをしていた。
開放された後、囚われていた人達は、俺にお礼を言いたいと、三人に言っていたそうだが、やらなきゃならない事が多いから、それは人里に着いてからして貰った。
「どう?そっちは準備終わった?もう移動開始しても良いかな?」
『うん。大丈夫だよ』
ナノに電話を掛けて後方の様子を聞いた。
大丈夫みたいだな。
「じゃ 大丈夫みたいだから出発しようか?」
「うん。行こう」
やっと人里に行けるよ。
捕縛からも開放されたしね。
移動途中は、フェムトや山賊のリーダーから、色々と話を聞こう。
----------
独自用語説明:
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます