第7話 異世界人との初接触は捕縛されると言う異世界の罠?

異世界人と交流?捕縛?状況としては最悪かも知れないけれど、異世界の住人と初接触が出来て、俺はラノベの異世界転移物の定番の様に、能力的にかなりチートな状態になっている事が解った。

人外レベルの身体能力に、中世程度の文明の世界でスマートフォンが使える。

まだインターネットは使える状態では無い様だが、同期と最適化が済めば、

インターネット検索などで、元の世界の情報も得られる。

しかも、シムは一度見ただけの魔法を、さらりとアプリ化して使える様にしてくれるし、そのスマートフォンもバッテリー切れの心配も無い様だ。

異世界無双?いや、異世界で俺は少女?女性?見た目は小学生にしか見えない成人女性三人に、捕縛されて連行されている。

うん。無双じゃ無いね。無情だね。うん。神様みたいなやつの馬鹿野郎!

高千穂に旅行したら強制的に異世界転移で異世界旅行どころか帰れる見込みも無いし、異世界で最初にしたのは大量の石拾いだし、異世界人に遭遇したと思ったら捕縛されるし・・・・・・泣きっ面に蜂の上に崖から転落って感じ?うん。マジで最悪。泣くぞ!

ハード過ぎにも程が有る!


まあ、独りで3メートル程も有るマムシに遭遇してたら、走って逃げるしか出来なかったから、三人に会えて良かったかも知れないけど、捕まりたくは無かった。


あれからかなり歩いたけれど、町や村に着く様子は無い。


移動しながら、こちらの動植物を確認している。

目に映る動植物の名前などが解る様になったから、元の世界との比較が、簡単に出来る様になった。

結果 違いは有るけれど、元の世界と同じ様な動植物や似た動植物も多い事が解った。

植物だと、タンポポやアザミなどのよく見る野の花はもちろん、山菜で定番のワラビやゼンマイ、ウド、タラノキやノビルとかまで有ったのは笑った。

木々も日本の山で見られる物も多かった。

動物もマムシの他にも日本と同じ生き物を何度か目にした。

変だなと思うけれど、やはりこれもラノベの異世界物の定番と同じ様だ。

それなら他の所も定番と同じにしてくれよって強く思う。


特に、言葉がよく解らないのは困った・・・・・・

何とか会話出来てるけどさ・・・・・・

翻訳スキルのバグの修正してくれよ!


[アユム様 こちらの世界の言語を解析して翻訳出来る様にしますか?]


あ、スマートフォンと言えば、翻訳アプリって定番の一つだったよね。

神様っぽいのが、ちゃんとしたスキルを付与してくれないのなら、自前で何とかすれば良いのか・・・・・・


うん。シム ヨロシク!


[了解しました。これからは会話を解析してリアルタイムに翻訳します。同期にてタイムラグ無く会話が出来る様にしますか?]


それって、翻訳された言葉として聞き取れて、俺が話す言葉も翻訳されたものを言えるって事?


[その通りです]


じゃあ、それでお願いします。


[畏まりました。同期も行います]


助かるよ。ありがとう。


これでこれからは会話に困らない。


しかし・・・・・・どれだけ歩くんだろう?

まだまだなのかな?


「あれ!?あの集団はなんだろう!?」


先頭を歩くナノが他の二人に声を掛けた。

まだかなり離れているが、確かに道の先に人影が何人か見える。

人影だよな?野生動物じゃないよな?


そのまま歩いて進むと、集団はこちらに気が付いた様なのに、何故か森の中に入って行った。


あ、そう言えば、ナノの言葉が普通に解った。

翻訳がきちんとされている様だ。


「遠目だったけど、知らない奴等っぽかったよね?ねえ?あんたの仲間じゃないの?」


ナノが俺に聞いてきた。


「いや、俺は一人で来たから違うよ」


「えーっ?本当かよ?って、あんたちゃんと話せるじゃん!」


「ははは・・・・・・」

ナノの指摘を笑って誤魔化した。

俺が話す言葉も、きちんと翻訳されている様だ。


「どうしよう?」

フェムトが不安そうに二人に聞く。


「後を付けようよ。そんなに人数が居なかったし大丈夫じゃない?」

「でも、山賊だったら危険だよ?」

ナノはどこに行ったか確認したいらしいが、ピコは乗り気じゃ無い様だ。


「大丈夫だって!行こうよ!」


先頭を歩くナノが小走りに進み、集団が森に入って行った所まで移動する。


「さあ、行くよ!」


その言葉に残りの二人は顔を見合わせて難色を示しているが、ナノはもう森に入って行っている。


「あ、あのさ?危ないかもだから、森の中に入るのは止めない?」

あの大きなマムシを見ているから、正直 森の中に入りたく無い。

しかも、拘束されている状態だから、尚更だ。

だから、一応 森に入るのを止めてみた。けど、既にナノが行っちゃってるから、他の二人も行く様だ。


うん。嫌だ。


まあ、森に入るとは言っても、一応 細い獣道の様にはなっているのだけど、道と言えるレベルでは無い。


「うおっ!」

蚊が纏わり付いても縛られているから払えない。

もちろん、ブユやアブも同じく集られるままになってしまう。

ハチも来たけど、この状態じゃ何も出来ない。

しかも、虫のサイズが大きい!全体的に動物が大きい!虫も元の世界の倍のサイズが当たり前!

あー・・・・・・今 首筋に蚊が止まって血を吸ってるよ・・・・・・

「か・・・かゆい・・・・・・」


「うわっ!」

デッカイ蜘蛛の巣!えっ?あれ ジョロウグモなの!?

いや、人の顔位のサイズじゃん!虫だけじゃなくて、小鳥も捕まえる事が出来そうなサイズじゃん!


「なんでこんな所を普通に歩けるんだろう・・・・・・」


他の三人は、まるで普通の事の様に、この森の中を歩いている。

流石に森の中では、現代人と地元民の違いを痛感する。


「静かに・・・奥にさっきの奴等が居るよ」


ナノが声を掛けてきた。

木々が開けた広場の先に、先程の集団が、更に森の奥に行こうとしているのが見えている。


「もっと奥まで行くみたいだね」

「うん。どうする?」


フェムトとピコは不安そうにしている。


「もう少し後を付けて行こうよ」


ナノはまだ付いて行く気の様だ。


俺は行きたくないなぁ・・・・・・

でも、ナノは行っちゃうんだろうなぁ・・・・・・

そしたら、他の二人も付いて行っちゃうんだろうなぁ・・・・・・

そうなると、必然的に俺も強制で行かなきゃならないよね・・・・・・

もう、ハードモード過ぎるよ。俺 まだ何も武器とか防具とか装備してないんだけど・・・・・・うん。マジでさ。ハード過ぎにも程が有る。

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