5. 一緒にベッドで寝るのはどうでしょう?

 〈月と鰯亭〉のど真ん中でルーニャへの想いを叫んだミカリ。酒が回ったのかついに彼女は机に突っ伏して動かなくなる。


ジルベルト:「このままルーニャ卿のところへ運んで任務終了なら楽なんだがな」


タイズ:「わたくし、少しワクワクしてきました」


ジルベルト:「ん?ワクワクとはなんだ?」


タイズ:「恋の予感でございます」


 ジルベルトが盛大にエールを吹き出し、正面で寝ていたミカリにかかる。タイズがおしぼりでミカリの顔をごしごし拭くと、ミカリは「うーん、ダメですよルーニャさまぁ……」と寝言をあげた。


ジルベルト:呑気なものだなあ


タイズ:「さてジルベルト様、これからどうしましょうか?」


ジルベルト:「ひとまずミカリ殿を研究所まで運んでいくとしよう」


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 〈月と鰯亭〉を出ると月が高く上っていた。酒で上気した身体に夜風が気持ち良い。ミカリを担ぎながら先ほど歩いた道を戻りマグナル研究所を目指す。

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タイズ:「このままミカリ様をルーニャ様のもとへお連れしてはいかがでしょうか?」


ジルベルト:「ルーニャ卿は『ミカリさんの意思で』と言っていた。グレーではあるが、やはりこういうのは本人たちの意思が大切だ」


タイズ:「本人たちの意思、ですか。そこにマグナル博士の意思は含まれないのですか?」


ジルベルト:「なぜだ?主人とはいえ雇用契約みたいなものだろう。助手がいなくなったのならまた別の助手を探せばいい。さほど気にするまい」


 その台詞を聞いたタイズが急に立ち止まる。不審に思ったジルベルトが振り向くと、タイズは月明かりの下で泣きそうな表情を浮かべていた。


タイズ:「そうなのでしょうか?であればわたくしは少し悲しいのでございます」


ジルベルト:「そ、そーだよな!?助手がいなくなったら悲しいよな!?」


GM:回転した!手のひらが!


ジルベルト:「そりゃそうだよ。『助けてくれる手』と書いて助手なんだ。とても大切な存在だ。それを失うなんて、利き腕を失うみたいなものだよまったく」


タイズ:表情が明るくなります


GM:ルーンフォークの心は繊細なんだね


ジルベルト:「とはいえだ。それはおいおいあの三人で話せばいい。まずは明日ミカリ殿をルーニャ卿の元へ連れて行こう」


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 無事にミカリを研究所に届けた二人はそのまま夜道を歩いてジルベルトの宿に向かう。ジルベルトが泊まっている部屋は決して広くはないが、二人が泊まるには十分な大きさだった。

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ジルベルト:部屋の説明を一通りします

ジルベルト:「というわけだ、タイズ。長旅で疲れているだろうからそこのベッドで寝るといい」


タイズ:「いえ、この家の主人であるジルベルト様がベッドをお使いください。わたくしは椅子で結構でございます」


ジルベルト:「そうはいかない。家主の言うことを聞いてベッドで寝たまえ」


タイズ:「それはそうでございますが……わたくしとしては、それでは気になって眠れないのです」


GM:ルーンフォークってそういうところ頑固だよね


ジルベルト:「よし、なら一緒に床で寝よう!」


タイズ:(笑)

GM:なぜ!?


タイズ:「ではジルベルト様。どうせ一緒に床で寝るのでしたら、一緒にベッドで寝るのはどうでしょう?」


GM:(ガッツポーズ)


ジルベルト:「んん!?」ベッドとタイズを交互に見ます

ジルベルト:「サイズ的には問題ないかもしれないが、眠れないだろそれは!」


タイズ:「問題ありません。わたくしは生み出されて間もない頃、ご主人様とよく一緒に寝ていました」


ジルベルト:「生まれて間もない頃は誰だってそうだ!」


タイズ:「ダメ……でしょうか?」と首を傾げます


GM:あざと強い!


ジルベルト:「ダメ、ではない。うむ、じゃあ一緒にベッドで寝よう。私は壁の方を見てるから!」

ジルベルト:ではベッドの端で壁を見てティダン様の聖印を握りながら祈りの言葉を心の中で唱え続けます


タイズ:「うーん、ご主人さまぁ……」という寝言と共にジルベルトに抱きつきます


ジルベルト:ティダン様に祈り続けます


GM:ではこの夜は更けていきます。いいセッションでしたね



--

 翌朝。

 目を覚まし朝食を済ませたジルベルトとタイズは約束通りマグナル研究所へと向かう。漁師の街だけあってグロッソは朝から賑わっている。

--


ジルベルト:「タイズは昨日眠れた?」


タイズ:「ジルベルト様の温もりが大変心地よく、ぐっすりでございます」


ジルベルト:「んん!?そ、そうか。それならいいんだ」


GM:ではお二人に話しかけてくる声があります


--

「モシモシ」

 急に話しかけてきたのは手を繋いだ二人組の女性ルーンフォークだった。一人は美しいドレスを着て、もう一人は男装姿をしている。


「グランタミナル駅ヘ行クニハ、ドウスレイイデスカ?」


 非常にたどたどしい交易共通語だ。タイズは彼女たちの言葉に魔動機文明語のイントネーションを感じた。

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ジルベルト:観光客だろうか?


タイズ:「グランドターミナル駅でございますね?」と言って道順を教えます


男装のルーンフォーク(GM):「大変アリガタカッタデス」


男装のルーンフォークは説明された道順を紙にメモしていく。その間もドレスのルーンフォークは男装ルーンフォークの腕を掴んだままだ。


ジルベルト:「お二人は最近キングスフォールにやってきたのか?」


ドレスのルーンフォーク(GM):「キングス……フォー?」と首を傾げます


ジルベルト:グランドターミナル駅を知っていてキングスフォールを知らない?


タイズ:「失礼ですがお二人はルーンフォークなのですよね?」


男装のルーンフォーク(GM):「ハイ、ソデス」


タイズ:「交易共通語に魔動機文明語の訛りを感じます。生まれたてのルーンフォークかもしれません」


ジルベルト:「頼りないな。人攫いに遭ったら困るからグランドターミナル駅まで案内するか?」


GM:ですがこのルーンフォークたちはお二人にお礼をいうと仲良く手を繋いで去っていきます


ジルベルト:「まあ大丈夫か。ここは安全な街だ。ティダン様のご加護があることを祈ろう」


タイズ:「大変仲が良く幸せそうでしたね」


GM:ではお二人は再びマグナル研究所にやってきます


--

 マグナル研究所の扉を叩くが返事はない。博士もミカリもまだ寝ているのだろうか?一応「ごめんください」と言いながら中に入ると、二人はすぐに異変に気付いた。昨夜まで整頓されていたはずの地上階が荒らされていたのだ!

--


GM:さあ、トラブル発生です。冒険者の出番ですね!

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