7. 素敵な機能でございますね

 2つの魔動機、バスラとスクルータが起動し、強盗たちを皆殺しにして逃げてしまった。そんな信じ難いミカリの話だが、マグナル博士には何か心当たりがあるようだ。

 ひとまず血生臭い倉庫からミカリを連れ出して一同は今後の作戦を話し合う。


タイズ:ミカリ様の身体についた血を拭います


ジルベルト:「しかし困ったな。魔動機に逃げられてはルーニャ卿の依頼を達成できん」


タイズ:「もはやそれどころではないかと思います」


GM:そんな会話をしてる間もマグナルはぶつぶつと何かを呟いて考えています


ジルベルト:「マグナル博士。魔動機たちが逃げ出した理由になにか心当たりがあるご様子。よければ話してくれないか?」


マグナル(GM):「うーん……本当は社外秘なんだけど、そうも言ってられないか」と頭をぼりぼり掻きます。大量のフケが落ちてきます


タイズ:不潔


マグナル(GM):「実は、あの子たちには2つの素敵な機能がついているんだ!」


===

【バスラとスクルータの機能】

●変身機能

 バスラとスクルータには変身ユニットが搭載されている。これを起動させると二体はルーンフォークに変身する。変身できる姿は長時間観察した女性ルーンフォークに限られる。

 服装に関しては変更できず、バスラは男装でスクルータはドレスを着ている。


 二体は簡単な会話能力を持つが見破ることは容易。


●暗殺機能

 バスラとスクルータには暗殺機能が搭載されている。ターゲットを登録すると、特殊な〈ライフセンサー〉でそのターゲットの位置を特定して暗殺を遂行する。

===


タイズ:「これはまたずいぶん素敵な機能でございますね」


ジルベルト:タイズのマグナルへの当たりが強いよ!


マグナル(GM):「元々は姫が自身の護衛用に買い取るはずだったんだよ。ほら、姫は女性しか手元に置かないだろう?女性に変身できる機能はうってつけってわけさ」


タイズ:「護衛用の魔動機に暗殺機能がついているのは少し矛盾を感じます」


マグナル(GM):「そうでもないさ。命を狙われるような人ならばこそ別の命を狙うこともあるだろう」

マグナル(GM):「もっとも、ボクが暗殺機能に気付いたのは10日前だから、姫は暗殺用にあの子たちを買ったわけではないよ」


ジルベルト:「では強盗どもは魔動機の暗殺機能を起動させ、そのせいで魔動機は暗殺に向かってしまったと?」


マグナル(GM):「そういうことだろうね。でも、暗殺ターゲットなんて登録されていないはずなんだけど……」


--

 後ろにいたミカリが「ひぃ……!」と小さな悲鳴をあげる。

 一同が振り向くと、ミカリは明らかに異常な怯え方をしていた。顔面が土気色になり、歯はガチガチと鳴り、全身が震えて立つこともままならない。

 ジルベルトが〈サニティ〉をかけようか迷っていると、ミカリは震える声で自らの気付きを話し始めた。

--


ミカリ(GM):「た、ターゲットは、るるルーニャ様です!」


ジルベルト:「なんと!?」

マグナル(GM):「あちゃー」


ミカリ(GM):「さ、昨晩研究所に戻って、博士の様子を見にいったら博士は寝ていて。そ、そしたら魔動機が話しかけてきたんです」

ミカリ(GM):「『ターゲットを捜索します。ターゲットの名を教えてください』って!」


ジルベルト:「なるほど。昨夜ミカリ殿はルーニャ卿に会いたいと強く思っていた」


タイズ:「そして魔動機に捜索するターゲットの名を聞かれ、ルーニャ様と言ってしまったわけですね」


GM:ミカリは目に大粒の涙を浮かべてこくんと頷きます


マグナル(GM):「とにかくルーニャ姫が危険だ。ジルベルト君とタイズ君、冒険者である君たちに、姫の護衛と魔動機の無力化を依頼したい」


タイズ:「ギルドを通さず直接の依頼ですか。ジルベルト様、いかがしましょう」


ジルベルト:「無論引き受けるに決まっている。冒険者でなくとも困っている人を助けるのがティダン様の教えだ!」


マグナル(GM):「報酬はひとりあたり……」


ジルベルト:「そんな話は後だ!!!」


タイズ:かっこいい

GM:かっこいい


--

 マグナルは先ほどミカリを発見したモニターを取り出すと、少し操作して「ビンゴ!」と指を鳴らした。どうやらバスラの現在地がわかったらしい。

 バスラは首都東西線沿いを徒歩で移動しグランドターミナル駅に向かっているようだ。スクルータの信号はまだ受信できないがおそらくバスラと共にいるのだろう。


 マグナルは一度研究所に戻ってスクルータの信号解析に、ミカリは憲兵の詰所へ行き今回の騒動を伝えてルーニャ卿の護衛を依頼することにした。

 そしてジルベルトとタイズはバスラを追って走り出す。

--


ジルベルト:「ミカリ殿、安心するがいい。このジルベルト・モローが事件を笑い話に変えてみせよう!」

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