これぞキャラクター小説!

本作の主人公は四人の少女です。彼女たちはいずれも不幸な死を遂げていますが、消滅の前に「二度目の生」を手に入れることができます。ただしそれには条件が一つありました。魔女の見習いにあることです。そして彼女たちは銀の魔女であるため、瞳の色が銀色に変わります。これが本作のタイトルの意味なのです。

四人の少女はそれぞれ生まれも育ちも異なるのですが、大きな喧嘩をすることもなく(小競り合いくらいはありますが)協力して一つの目標を達成しようとします。この四人の仲良さが、読んでいてすごく心地よいのです。よく「言い争いなどがあった方がエンタメとして面白い」なんて聞きますけど、本作については絶対仲良しの方がいいです。もちろん四人はバラバラの存在であるのですが、「一つの塊」として見ることもできるからです。四人は一つの塊になって、魔女プラータの出した試練を克服しようとします。そういうシナリオが敷かれているのです。
あと関係ないですが、私はプラータを絵入りで見たいです。絶対エロかわいいです。絶対。寿命手前というギャップもハァハァものです。……すみません。

私はこの作品を極めて優秀なキャラクター小説だと思いました。キャラクター小説における「キャラクター」は性格や行動や口調や趣味などだけでは魅力的なものにならないと考えているからです。キャラクターには必ず過去があります。そして過去は現在に、そして現在は未来へと繋がっています。この「線」です。この線の個性こそが、キャラクター小説の要点なのだと考えています。
本作について見てみると、まず四人はそれぞれ非常に不幸な死を遂げます。本作のあらすじに簡単に書かれているので読んでみるのも一手ですが、できればいきなり本文の方に入ったほうが感情移入できてよいと思います。
で、四人はその過去を背負いながらも、「今、四人でいられること」を前向きに捉えています。辛いことを経験してきても、誰かに文句を言ったり、誰かと笑い合って毎日を暮らしているのです。フランがぶっきらぼうに振る舞えば、ユインが冷静にツッコんでいさかいに展開する。それをシルクがなだめる。ギンナは全員を導きながら、全体のバランスをとろうとする。作中、ギンナは身の危険に瀕しますが、残りの三人は知恵と力を振り絞って彼女を助けようとします。つまりはそういうことです。
このキャラクターの描き方は、読み手としてたいへん気持ちのよいものです。若干不謹慎で恐縮なのですが、「不幸な過去を背負いながらも今精いっぱい生きる女の子」というのが私は大好きなのです。それが四人分。読書の楽しさも4倍です。キャラの書き分けもうまいですから、読者はギンナたちの「過去から今」「今から未来」への線を楽しむことができるでしょう。これぞキャラクター小説。私は読後、そう感じました。

最後に関係ないですが、私はプラータを絵入りで……。
あれ? これ、さっき書いた??

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