素晴らしい作品でした。
ここまでweb小説にハマったのは久しぶりです。
朝早く起きないといけないのに、面白くて止まらず、夜更かしをしたことが何度もあります。
多くのキャラクターが出てきますが、みんな個性的なので(さらに魅力的なので)、混乱することはありませんでした。
全員をイラストにして欲しいです。もし私に絵心があったら、絶対に各キャラを描いたFAを送りまくってました。
何回もピンチが訪れるんですが、そのたびに彼女たちは力を合わせて解決していきます。
その成長の描き方が上手いと思いました。彼女たちのこれまでの生き様を思うと……。成長前と成長後の違いに胸が震えます。
ネタバレを含むので深くは書けませんが、名場面と名ゼリフがたくさんあります。
ちなみに私の推しはユイン、フランです。あ、イザベラさんも好き……。
めちゃくちゃ応援しています。激推しです。
素敵な作品に出会えたことを嬉しく思います。
作者さま、書いてくれてありがとうございます。
この小説の主人公である四人の少女は、若くしてこの世を去り、作中で言う「裏世界」、俗に言えば死後の世界に来ました。その死後の世界は、生前に聞き及んでいたいかなる宗教の教えとも違っていました。
何が何だか分からない。そこから四人の少女は手探りと体当たりで世界を学んでいきます。
その世界はとても壊れていました。善悪など吹っ飛ぶ場所でした。
狂った世界に抗う? そんなことはできません。世界に魂が抗えば滅ぶのは魂です。存在し続けるために世界の理を知るのです。
もう何が間違っているかなんて分かりません。解説文にある通り、四人の台詞には多くの間違いが含まれています。四人は未熟です。それでも生き延びるがために死後の世界を知ろうとするのです。
そして、世界の理を知らねば生きていけなくなるのは、実は私達が生きるこの世界も同じなのです。現世での生き方を忘れた・学ばなかった人間が引き起こす悲惨な事件を私達がいくつ見聞きしてきたか、忘れてはなりません。
この話は優しいです。とても残酷な話に見えて、なかなか言えない本当の話を魔法のオブラートに包んで飲みやすくしてくれる話です。これは正しく「現代ファンタジー」です。
死んで、魂になったあと、死神に勝つことで、裏の世界で第二の人生が与えられる。
魂には色があり、その色によって第二の人生の道も決まる。
少女たちは銀色だった。希少種だった。どれくらい希少かというと100年に一度。そんな希少な銀色の魂が4つも同じ時代に現れた。
彼女たちは銀色の魔女の元で魔女になるための修業を積む。
見たものを殺す超強力即死の魔法使い——フラン
光源の確保と料理ができる炎の魔法使い——シルク
通訳と遠隔会話を得意とする言葉の魔法使い——ユイン
なにもできないけれど考え見通すことができる——ギンナ
それぞれの役割があり、その役割を果たすことで、向かい来る問題事を次々に解決していきます。
そして役割は目に見える部分だけではありません。
フランは好奇心旺盛で強気。道を開拓していく力があります。
シルクは温和で利他的。衝突する仲間の緩衝材になってくれます。
ユインは探求心が強く勉強好き。幅広い知識で仲間をサポートします。
ギンナは状況把握能力が飛びぬけて高い。今できることからもう一歩先の未来へみんなを先導します。
外見こそ銀色で統一された彼女たちですが、内面と能力はそれぞれ違ってみんな魅力的。
彼女たちは、それぞれつらい過去を持っており、その表の世界の過去が裏の世界に来ても足を引っ張ります。コンプレックスとなります。
しかし今、彼女たちは一人ぼっちじゃない。仲間がいる。一人では乗り越えられなかった苦悩苦心を、手を取り合って超えていける!
魔法の世界というと、ふわっとした理論でなんでもできてしまう気がしますが、この世界はそうじゃない。しっかりとした理論があり、裏の世界にも社会体系がある。表の世界とは違った基盤がある。その基盤の上に、それぞれが生活を営んでいる。ゆえにリアルなんです。そんなリアルな世界の上で、魔女見習いたちは魔法を使う。だからこそ胸が高鳴るんです。頑張れって応援したくなるんです。
魔女見習いの少女たちの熱い友情物語。
ぜひご堪能ください!!
本作の主人公は四人の少女です。彼女たちはいずれも不幸な死を遂げていますが、消滅の前に「二度目の生」を手に入れることができます。ただしそれには条件が一つありました。魔女の見習いにあることです。そして彼女たちは銀の魔女であるため、瞳の色が銀色に変わります。これが本作のタイトルの意味なのです。
四人の少女はそれぞれ生まれも育ちも異なるのですが、大きな喧嘩をすることもなく(小競り合いくらいはありますが)協力して一つの目標を達成しようとします。この四人の仲良さが、読んでいてすごく心地よいのです。よく「言い争いなどがあった方がエンタメとして面白い」なんて聞きますけど、本作については絶対仲良しの方がいいです。もちろん四人はバラバラの存在であるのですが、「一つの塊」として見ることもできるからです。四人は一つの塊になって、魔女プラータの出した試練を克服しようとします。そういうシナリオが敷かれているのです。
あと関係ないですが、私はプラータを絵入りで見たいです。絶対エロかわいいです。絶対。寿命手前というギャップもハァハァものです。……すみません。
私はこの作品を極めて優秀なキャラクター小説だと思いました。キャラクター小説における「キャラクター」は性格や行動や口調や趣味などだけでは魅力的なものにならないと考えているからです。キャラクターには必ず過去があります。そして過去は現在に、そして現在は未来へと繋がっています。この「線」です。この線の個性こそが、キャラクター小説の要点なのだと考えています。
本作について見てみると、まず四人はそれぞれ非常に不幸な死を遂げます。本作のあらすじに簡単に書かれているので読んでみるのも一手ですが、できればいきなり本文の方に入ったほうが感情移入できてよいと思います。
で、四人はその過去を背負いながらも、「今、四人でいられること」を前向きに捉えています。辛いことを経験してきても、誰かに文句を言ったり、誰かと笑い合って毎日を暮らしているのです。フランがぶっきらぼうに振る舞えば、ユインが冷静にツッコんでいさかいに展開する。それをシルクがなだめる。ギンナは全員を導きながら、全体のバランスをとろうとする。作中、ギンナは身の危険に瀕しますが、残りの三人は知恵と力を振り絞って彼女を助けようとします。つまりはそういうことです。
このキャラクターの描き方は、読み手としてたいへん気持ちのよいものです。若干不謹慎で恐縮なのですが、「不幸な過去を背負いながらも今精いっぱい生きる女の子」というのが私は大好きなのです。それが四人分。読書の楽しさも4倍です。キャラの書き分けもうまいですから、読者はギンナたちの「過去から今」「今から未来」への線を楽しむことができるでしょう。これぞキャラクター小説。私は読後、そう感じました。
最後に関係ないですが、私はプラータを絵入りで……。
あれ? これ、さっき書いた??