何が間違っているかなんて分からないから

この小説の主人公である四人の少女は、若くしてこの世を去り、作中で言う「裏世界」、俗に言えば死後の世界に来ました。その死後の世界は、生前に聞き及んでいたいかなる宗教の教えとも違っていました。

何が何だか分からない。そこから四人の少女は手探りと体当たりで世界を学んでいきます。

その世界はとても壊れていました。善悪など吹っ飛ぶ場所でした。

狂った世界に抗う? そんなことはできません。世界に魂が抗えば滅ぶのは魂です。存在し続けるために世界の理を知るのです。

もう何が間違っているかなんて分かりません。解説文にある通り、四人の台詞には多くの間違いが含まれています。四人は未熟です。それでも生き延びるがために死後の世界を知ろうとするのです。

そして、世界の理を知らねば生きていけなくなるのは、実は私達が生きるこの世界も同じなのです。現世での生き方を忘れた・学ばなかった人間が引き起こす悲惨な事件を私達がいくつ見聞きしてきたか、忘れてはなりません。

この話は優しいです。とても残酷な話に見えて、なかなか言えない本当の話を魔法のオブラートに包んで飲みやすくしてくれる話です。これは正しく「現代ファンタジー」です。

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