まるで、喫茶店で隣の席のおしゃべりを聞いてるみたい。
しかも、その席は、なにやらワイワイと盛り上がっていて、楽しそう……。
本作に抱いた、私の印象です。
「社会学」という耳なじみのないワードで敬遠するのはもったいない!
老若男女問わず、誰しも抱える悩みへのヒントが、本作には散りばめられているのですから!
また、登場人物たちが、一人一人、背負っているテーマがあるのも奥深いです。
どの人物も共感しやすいテーマなので、「わかる、わかる!」とうなずきたくなりました。
となると、もう、彼らの隣の席に座りたくなってしまうもので。
思わず言ってしまうのです。
「ちょっと、お隣の席に座ってもいいですか?」と。
社会学というのは本来社会科学の一分野であってエビデンスが必要。だから統計も取るしそのためにSPSSなどで分析する。量的調査も質的調査も行う。それが社会学の中核部分である。だから社会調査士という資格が取れる(修士だと専門社会調査士になる)
しかしそれはまだ本作品の未執筆部分である。まだウエーバーとかデュルケムとか構造機能主義とか社会学の基本中の基本の部分を執筆してるが社会学がなんで世に必要とされているのかというと「社会統計」の学問だからだ。つまり本番はこれからなのである。国家の基礎統計を担うのが社会学なんだね。
だから途中で読むのを辞めないでほしい。
※本レビューは2023年1月26日に執筆したものです。
社会学、というと尻込みされるかもですが、本当に身近なものなんだな、と。
そんな新たな知識を得ると同時に3人のアオハルがみずみずしい。
クラスの人気者、いつもひとりを好む?変人扱い、そしてカースト上位にこだわるフツー女子。
スクールカーストは『人として』『社会形成』をするのであれば決してなくならないと思うし(いつだって優位性や集団が安心する人種は存在する)、その波に溺れかけている子たちはたくさん居ると思う。
けれど、その泳ぎ方を親や先生たちは絶対に教えてくれない。
そんな君に是非このカフェをオススメしたい。学生だけじゃなくて、社会人、大人の私たちにもね。
純喫茶ルディックへ、ようこそ!
クラスでぼっちと呼ばれている巫 侑(かんなぎ ゆう)は、ある日、学業優秀スポーツ万能の志之元 蓮(しのもと れん)から声を掛けられる。一見正反対の二人は、社会学を通じて交流を重ねていく。
すっごくすっごく面白いです!社会学という学問を題材にしているため、かたい印象を受けるかもしれませんが、取り上げ方がとっても自然で読みやすい作品。
学校生活という集団での息苦しさやモヤモヤを丁寧に掬い上げており、共感するところがたくさん見つかると思います。
当たり前に守っているルール、常識だと思っていることは本当に正しいのでしょうか?疑問を持つことって意外と難しいですよね。
カンナギや蓮が話している様子は、学びの楽しさに気づかせてくれるはずです。私自身、社会学の勉強をしたくなりました。文学から社会学を考えるなど、めちゃくちゃ興味深いです。
そんな社会学について色々学べるだけでなく、この物語は人間ドラマとしても読みごたえがたっぷり。ぜひぜひ読んでみてください!
古代ギリシャとか、古代中国の思想家のその立ち位置の基本は、おそらくは哲学であったんじゃないかと思います。あらゆる学問を内包していたのが、当時の哲学であったと言いましょうか。
哲学から派生していった論理学や数学や自然科学があって、そして、学問的方向性を深く狭くしていく中で、今や学問はもっともっと細分化され、多岐に分岐したそれらは互いに交じり合う事を拒否しがちに振る舞ったりもする。
でも、細分化された各分野の学問を、それぞれに取り入れた後に、自分の中で統合する事こそが、【学ぶ】というヒトの行為の集大成であり、それこそが醍醐味であろうと思います。
その、統合の為の軸の一つとして社会学はとても有用なのですが、社会学は今のところ、哲学と同様に一般的ではありません。とても広い学問であるが故に、ふわふわとしたイメージで、一般的には【すぐに何かの役に立つ学問ではない】と認識されているように私は思っています。
そんな、【有用か無駄かと問われれば有用であるのだろうけど、その学問に触れる事で、即、何かの役に立つようなものではない社会学】というモノの魅力を、少年少女の生き辛さを背景に、私たちにやさしくおもしろく教えてくれるステキな作品です。ご一読をオススメしたいですし、作中で説明されている社会学そのものや、社会学的アプローチについて疑問に思った事等があれば、コメント欄にその旨を書き込んで欲しいと思います。
私は大抵、「今回の内容も面白かった。コメント書き込みたいな。でも、コメント欄が私ばかりになると、他の人が書き込みにくくなるな。自重しよう」とコメントを控えておりましてですね。
コメント欄がもっと社会学で溢れたら、私もコメントを書き込みやすくなるなと思っているのです。
そして、こういう作品で、社会学を世に広く知らしめたいと願っておられる作者さまも、「あぁ、この回のこの表現では社会学を知らない人には伝わりにくいのだな。次はもっと工夫しよう」と思えるようなコメントを待っていらっしゃるように思うのです。
そんな訳で、この作品を読む事と、読んでコメントを書き込む事をめっちゃオススメしたいんです。
最新話(25話)まで読みすすめる間、いろいろ考えさせられたり、心理描写の巧みさに感動して涙してしまったり、とにかくすごい作品に出会ってしまった!と、しばし呆然としました。
どう表現すればこの感動や驚きを伝えることができるのか、適切な言葉が見つからないのですが、これは唯一無二の傑作だと思います。
本作は、社会学という学問の面白さをアピールするために書かれた「社会学小説」ということで、最初は「社会学をある程度知っているか、社会学に興味がないと面白くないのでは?」と疑って読み始めたらとんでもない!社会学を知らなくても楽しめる、物語としても非常に完成された作品でした。
作者様は、人の心の機微にたいへん聡い方なのではと想像します。生きていくなかで遭遇する、言葉にしがたい人間関係の悩みやもやもやを見事に表現されており、かつ、社会学の話についても非常にわかりやすく興味をひくかたちで書かれています。
とにかく色んな人に届いて欲しい作品です。
応援しています。