第10話 閑話オーガストとアマリリス

 お披露目パーティー後、オーガストとアマリリスは密談をしていた。


 「ねえ、オーディ。あのスタンレー侯爵は使えるの?」

 「ああ、少し優柔不断な所があるがなかなか優秀だよ」

 「ふーん、そうなの。ダメな男ならエミリーに好い人を紹介しようと思ったんだけど、まあいいわ」

 「随分と彼女を気に入ったんだな?」

 「だって、エミリーが自領で新しい農地改革を実践したお蔭で、不毛でも作れる作物の改良に目処がたったと研究者から報告があがったて父から聞いたのよ。だから、伯爵家の家督と存続を認められたって言っていたわ。学歴もない人間がやった事が凄いんじゃない」

 「まあな、それとこれと何の関係があるんだ。アマリ-」

 「だって、私達の息子の嫁に優秀な彼女の娘を貰ったら素敵でしょう」


 オーガストは昔から天才と周りから評価が高かったが側室の子なので初めから臣下に降る予定だ。それは兄王子と良好な関係を続ける為に必要な事なのだ。


 しかも臣下に降りる際には王位継承権を放棄する。それは先を見越して余計な野心を公爵家に抱かせな為の今後の処置。宰相という役職に就くのも偏り過ぎた派閥の調整の意味合いもあった。


 「はは。そう言う事なら早速励むかな」

 「あら、気が早いわ。まだ結婚前でしょう」

 「チッ、仕方がない。結婚までお預けだな」


 二人はいずれそうなる期待に胸を膨らませながら、部屋を後にするのだった。

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