確かに繋がっていた。恋でも愛でも性愛でも友情でも絆でもなく。

本作は「万人向け」とタグを打たれていますが、序盤が重いです。何なのかは触れませんが、重いです。それは心してください。

それでも、その重さを乗り越えて、物語は淡々と進みます。しかし最後に来て暖かさと寂しさを抱えることになります。

作中の男女は、そのとき、確かに繋がっていました。憧れる恋でもなく、全てを包む愛でもなく、身体を繋げる性愛でもなく、許し合う友情でもなく、手垢がついた絆でもなく。でも、繋がっていました。

小さな、振り返ればほんの小さな出来事なのですが、こんな経験を持てる人がどれほどいるでしょう。奇跡という言葉を使いたくありませんが、得がたい経験をした人の物語です。

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