「何で?」いや、whyじゃなくて。

この作品、何とバカミス。カクヨムでもあまり例を見ないのではないでしょうか(当社調べ)。
バカミスって何? という人のために簡単にお話しておきましょう。
バカミスとはつまり「そんなバカな?」となるミステリーの意味で、いわゆるギャグもの。謎を解く論理性よりも「んなアホな?」という意外性に重きを置いた話です。

探偵「あなたが犯人です」
A「私がやりました」
B「私もやりました!」
C「いや、実は僕も……」
D「違う! やったのは俺だ!」
E「探偵さんも現場にいたのでは?(俺もやってんけどな)」
探偵「まぁ、刺しましたよね実際」

そんなTwitter上でのやりとりが元で生まれたようです。
……何これダチョウ倶楽部? 

さて、本作はレビュータイトルにも書きましたが「何で殺したのか?」というミステリー。いや、whyじゃないんです。whatです。whatの「何」。つまり「なんで(why)殺したか?」じゃなく、「なにで(what)殺したか?」です。

そうです。フーダニット(who)ハウダニット(how)ホワイダニット(why)に続く第4のミステリージャンル、ホワットダニット(what)です。
つまり本作はミステリーの新たなジャンルの開拓、ミステリーの可能性に挑んだ作品なのです。

短編ならではの切れ味、ミステリーの新ジャンルへの開拓という意気込み、バカミスのくせに論理性はしっかりしているなど、読んで楽しめること間違いなし。

息抜きに、ミステリーの勉強に、新ジャンルの発見に、色々な場面でおすすめの作品。
あなたは「何で殺しますか?」。

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