第4話 イベント発生!!

奈良 柚子花

私はドアを閉めると、ペタンとドアの前にへたりこんでしまった。

…またやってしまった。どうして?どうして?私はもっと明るく出来ないの?私も天塚さんみたいに出来たら……

折角、遷都君があの時の事を覚えてくれていたのに、

折角、遷都君が話しかけてくれたのに 、。

皆と同じ事が出来ない私…

次の日の朝

隣のドアが開く音がした。

私は、すかさず自分もドアを開けた。

ふっ不自然じゃないわよね ?

一緒に登校しよう。

と言える勇気なんて無い私は、向こうがドアを開けるのを、玄関でひたすら待機して待っていた。完全に痛い女だ 。

「おはよ、昨日はありがと」

私は、ぼそっと小さい声で言う。

良く言った私、私は私を自分で誉める。


生駒遷都

ネクタイをキュット締め、ドアを開けてポーチに出ると、隣のドアもタイミングをはかったように、ガチャと開くと、奈良さんが出てきた。彼女の横を通り過ぎようとした時、

「おはよ、昨日はありがとう」小さな声だが、はっきりと聞こえた。だが相変わらず顔は無表情だ。

エレベーターの前で待っていると、彼女も後ろで待っている、エレベーターの窓が反射して、きれいに整った彼女の顔が売り込み、ドキッとした。

先にエレベーターに乗り、彼女が乗るまで、開くボタンを押す、彼女はぺこっとお辞儀をした、エレベーターが4階に差し掛かった時、大きくガコッンと揺れた。

「うおっ」

「キャッ」

エレベーターの中で、二人の驚いた声がこだまする。

俺がテンパっていると、彼女が俺の目の前にある、非常用ボタンを慣れた手付きで押して管理会社に連絡をする。

「すいません、また止まっちゃたみたいです」

また!?度々あることなの?

「わかりました。直ぐに作業員を向かわせます。30分程お待ち下さい。」と連絡が入った。……気まずい……


奈良 柚子花

困ったなぁ。とりあえず学校に連絡しないと。スマホを取り出して学校に連絡をする。

「すいません、2-Aの奈良ですが、エレベーターが止まって、私と生駒君が遅れてしまいます。」先生から了承の言葉を貰って電話を切る。

「ありがとう。俺の分も連絡して貰って。」

横から急に声がして、はっと、気が付くと肩と肩がぶつかりそうな位置に、生駒君が立っていた、私は横に一歩ずれて、コクンと首を縦にふった。真っ赤な顔を下を向いて隠す。


生駒遷都

流石は奈良さん、こんな時でもクールな対応だな。

「もし、このままエレベーターが落ちたら、俺たちどうなっちゃうんだろ?死んじゃうのかな?」ハハハ、と笑いながらと言ってみる。

「私達、もう死んでるか、これ以上死ぬ事はないよ。ただ、結構な怪我はするかも」

真面目な答えが帰って来た。

「このエレベーターって良く止まるの?」

「うん。4月からで数えて、今日で3回目かな?多分このエレベーターの担当の人、新人さんだから、まだなれていないんだと思う。」すると彼女がこっちを見て続けて言う

「ねぇ、このストラップなんだけど。」

すると、ガコッンと、急にエレベーターが動き出す。弾みで彼女が、バランスを崩して、俺は反射的に、彼女の肩を支える、彼女は俺の腰あたりに捕まる。よろける彼女に俺は、

「大丈夫?」と声をかける。

彼女は顔を真っ赤にして、

「ごめん、大丈夫。」というと俺の顔を見つめた。すると、急にエレベーターの扉が開いた。俺は、エレベーターの外にいた、作業員らしき、おじさんと目があった。

「おっと、お取り込み中だったかな?」

俺たちは、顔を真っ赤にして、慌ててお互いの距離をとった。二人で声をあらげて、

「ちっち、違います。」息ピッタリで言う。

「いや~ごめんね。どうやら電気系統のパーツを、一部付け間違えてみたいで、今度はちゃんと付け替えたから、もう大丈夫。」と報告を受けると、俺たちは、エレベーターを降りて、急いで学校に向かう。

「40歳位にのおじさんだったけど。あの作業員って新人だったのかな?」

「多分ね、この世界じゃ、私達みたいに、学生を卒業して就職するけど、もともと社会人だった人達は、そのまま就職する事になるから。」

なんとか学校に到着すると、朝のHRが終わった直後だった。二人揃って教室に入ると、やけにクラスメイト達からの視線を感じる。

席に座ると後ろから肩を叩かれる。五條がニヤニヤしながら、こっちを見ている。

えっ何??


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