第9話 服のセンスは、人それぞれ。
バスを降りて、ショッピングセンターの入り口に向かう。
……あえて口には出さないけど、郊外等によくある、某有名ショッピングセンターに似ている…こっちの世界に来て、初めてのショッピングセンターだから、ちょっとワクワクするな。
「まずは、服だよね。」天理
「まっ、そうだな。」五條
「うん。そうだね。」柚子花
「えっ調理器具は……」 生駒
「んなもん、後回しに決まってるでしょ。」
仕方なく、服を選ぼうとすると、
「はっ!なんで、そんなん所の服なの!?」天理
「えっ。服ですが…」生駒
「おいおい、もうちょっと意識しようぜ。」五條
「あっちの服の方が、きっと似合うよ。」柚子花
そう言われ、専門店街の方へ連れていかれる。
そこからは、着せ替え人形状態で、意識がついていかなかった。
「どれも、似合ってない訳じゃないんだけどねぇ。」天理
「あー。着ているというよりは、着られている感が半端ないよな。」五條
疲れはててしまい、通路のソファーで、死人のような顔をしていると、奈良さんが俺の隣に座り、優しく声をかけてくれた。
「大丈夫?疲れちゃった?」
「大丈夫。でも…」
「でも?」
「服選びって大変 。」
「フフフ。」と優しい顔で笑う、奈良さんの顔を見ていると、いつもの、クールビューティーな奈良さんとのギャップに、こちらも笑顔になってしまった。
向こうで、こちらの様子に気がついた二人が、俺たちを見てニヤニヤしていた。
「お~お~。いい雰囲気ですなぁ」
二人が口調を揃えて言ってきた。
顔を赤くして、立ち上がる奈良さん。
「そんなんじゃないよ。」と言い。
俺も立ち上がる。
「遷都、お前にここら辺の服はまだ早い。という事で、あちらの服屋に行くぞ。」
向かった先は、カジュアルな服が、手頃な値段で揃えられるお店だった。
俺が寿司とか侍とかが、プリントされた服を、手に取っていると 、あきれ顔をした、天理が俺の持っていた服を、棚に戻した。
「こりゃ重症だな 。」そう言って、立ち去って行った。
三人の協力もあり、なんとか服は揃えられる事ができた。
「おっ。もう、そろそろお昼かな?」五條
「あたしゃ、もうお腹ペコペコだよ。」天理
「んじゃ。いつも通り、フードコートに行きますか。」五條
「OK」天理
そう言って、二人はフードコートに向かった。俺と奈良さんも、遅れないように、後ろから付いていった。
…いつも通りって、あの二人………よく来るのかな?
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