外国の、短編映画を見たような読後感。
- ★★★ Excellent!!!
目の前に色のついた風景が広がる描写がとても素晴らしい作品で、コーヒーが香るようなレトロ雰囲気のダイナー、荒涼とした大地から山間部風景、荘厳な教会、白い霧の世界、赤い花畑。
1万文字少々の中にこれだけの風景が広がります。主人公の職場は忙しそうというところから都会の喧騒も感じ取れるかも。
ジャンルは「神秘的な、不可思議」の意味のミステリーですね。
主人公が久々に級友と会う所から物語はスタート。複雑な気持ちもある様子。
それぞれの体には識別チップが埋め込まれている未来の時代でも、やはり戦争というものは無くなっていないようで。
あえてドッグタグというアナログなアイテムを使っている彼ら。自分の体温で温まる金属のプレートで生きている実感を得るというのが、なんとも言えない趣があります。
そんな彼の相棒のドッグタグを、故郷に届けるという願いにこたえる事となった主人公の旅。
その後の彼らを想像させる余韻あるラストが最高です。