story 5 -entrance-
あのログインした後の没入感から、飛行機がランディングから安定飛行に映ったあの感じを私は味わった。
なんだ、最近のVRは安全性を加味していると勝手にレビューが自負していたのでなんだか憤りを覚えたが、これは良しとはできない。かと言ってブラウザバック即対応の動作の軽いゲームとは違い重たい、ただその分ストーリーの効いた話を展開してくれるのであろう。
そうしてあの没入感と疾走感の後、ワンコイン玩具のように着地して出てきて私は空に出てきた気分になった。真っ白だった。全ての世界が。
そうかと思うと軽快なアップテンポな曲が流れてきた。
自分に翼が付いたのかと思うと、また何か体がその世界を加速していったこれは物理的法則に従って言えば落下である。
この落下は混乱を生んだが、私はすぐに平生を取り戻した。
この真っ白なもやもやとした空間は何かと思えば雲であった。
こう加速につぐ加速で何が起きてるかは理解できたが正面を向くとタイムが書いてある。なんだ、カウントが100からあったのだろう、私は我に帰るのが早かったから94カウントぐらいで目に入ったそのあと93…92…91…とカウントが減ってくなんだ これは、基本事項の説明テキストが緑を基調として白く縁取ったサイケな字でlanguage?と書いてあった。
もちろんenglishではなく私は日本語と入力する。
私には約束がある、その約束は忘れていない。あの子と会えればいいなと言う約束だ。
そうしてenterキーを押すと瞬時に縦書きの説明事項が流れてきた。
この落下の加速度は止まってくれないこれは強迫観念を私に涌かせた。
『このゲームで起きた、問題・事故・事件は自己責任でお願い致しします。』
確認事項にノータイムでenterを押す。
そうして次に表示された文字は。
『あなたは有意義な時間をここで過ごせるでしょう。賢明な判断です』
そうして、設定画面を待つ焦燥感が涌くカウントは70を切る。
落下中、地表が見えてくる。どうやら海でも山でも湖でも都市でも何でもあるらしい。
海はその波で水しぶきを一粒一粒が見えて、山には隆起悠久の大地広がっていながら、海はそれを鏡のように投影されているのは、一枚の絵画を連続で、躍動感ある映像美として錯覚させてもらっている気分だ。少々の値の張るゲームソフトウェアの一つとして申し分が無い。
『初期設定から変更はありますか?』
との表記。そういえばログイン後詳しく細分化した設定を組めると何処かのサイトで読んだ気もする。そうしてenter。
『初期設定項目を開きます』
後は時間と知恵比べの勝負だ。すぐ様、設定画面をじっと見る。
Padみたいな操作感で、ユーザーに必要なのかは知らないが私は玄人志向の常連客だった。
こちらの方がマウスDPIとジェスチャーからそれをチューンされている。
うむ、このカーソル設定からでも予想がついた。
とある人たち向けのゲームであろうここまでインターフェースが込んでいて、ギミックからマウスカーソルの細部まで拘っている。
ヘビーユーザー用に最初からカスタマイズされているようだ。
私のようなハードゲーマー用のゲームであろう。カウントは50。
地表も見えてきて。都市部が見えてきた。
この凄まじく見入るチュートリアル画面。本来のMMOの類いならすぐさま入力作業が怠くなってきて私にはどうでもよくなるがはまり込みそうな要素は多分にあった。
最初からオフラインで初期設定していたからほぼ設定してあって楽である。
基本的には設定は変える必要が無いが、ジョブの欄に未アンロックマークが一杯あった。なんだろうこれは。後初期ポップアウト地もまたそうであった。
ジョブは星の数だけあると言っているのは、このゲームプレイヤーへの長髪性と溢れ出る個人プレイヤーへの期待感を持つゲームマスターからのものだ、これをゲーム性で示したメッセージ受け取ろう。
アンロックが好奇心をくすぐる、金額が書いて無い分課金制ではないようだ。
こんなゲームあっていいのだろうか。カウントは30。
そろそろ落下点を選ばないといけないではないか。不安になるがこのゲーム制作者を信頼しよう。クオリティがまず違う、疑うべきではないのは確かだ。
ポップアウト地点の多さからMAPも広大に展開されていて、MAP探索をするだけでも飽きが来ないだろう。
腱鞘炎でギブスはめてもマウスを握っていた少年時代を思い出す。こんなFPSみたいなノリでMMO、そうして家庭用ゲームの束縛を回避したようなゲームインターフェース。やりこみ甲斐があるというものだ。カウントは10。
MMOのような広大さでプレイ。
最後に見落としが無いかじっくりとまた俯瞰するように見てみた。
そうしたらこんなジョブがあるではないか。
『DETECTIVE』
この欄に急いでカーソルを合わせてクリック。カウントは3…2…1…0。
そうして、パラソルが開いた。
空を揺られていく。
そうして私は公園のど真ん中に見事着地した。
良い趣味をした噴水のオブジェが私を歓迎しているようだった。
何をするか。
私はここがそういうゲームだということに気がついた。
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