story 8 -new vision-
『何をしても自由』
この先進国スタイルに発展している、この現代的で、いわゆるモダンチックなデザイン設計の街並みで、何でもまかり通るような世界があり得るのであろうか。
なけなしのこの土地で暢気に公園が開いてある、だから私はここをパラグライダーのようなゲームシステムに乗っ取って俯瞰しながら落下地点をここへと選んだ。
只、ここでうずくまっていても何も始まらない。そもそも悲観的になることは無いのではないか。そう楽観視することにした。
人生はポジティブに行こう。困ったときに困ればいいのさ。
私の人生観である心に余裕を持ったライフスタイルで、水を差すのは良くない事である。
良くないことはできるだけ人間は避けるべきである事である上に、私はその上を行く。恐れていては何も始まらない。踏み出そう。この公園から。
老人に話しかけてから呆然と立っていたその場所から、革靴の音をたてて歩いて行き公園出口へと差しかかるに、公園の地図が載っていた。
それをまじまじと見ることにした。簡易地図だ。絵で描いてある。地図と言えるのであろうか。無いよりかはましかと、ポケットにある手帳をまさぐろうとするも何も無かった。
この公園は現実基準でも大きい。東京ドーム一個くらいはある。北口正面にはビル街。今居る私は南口の繁華街、東口には飲食街、西口には何も書いてなかった。開発が済んでないとは思えない、発売から三・四年は経っているもうそろそろこのゲームブームも去りそうな位な頃合いだ。
子供達が友達とやるゲームでは無さそうだ、このゲームは大人すぎる。
そういえばと、あの公園で会った雪だるまを作っていたあの彼女を再び思い出す。
あの子と会うために来たには来たが、余りにも不親切な設計なゲームである。
どういう手段で交信を取ったらいいのであろうか、私は苦悩する。空腹と共に。
とりあえず地図の書いていないところには行くのをやめよう、金の無い私は何処にも行きようがない、飲食街に行こう、東口から私は外に出ようとする。
カツカツと私はクラシックミュージックのパーカッションのように音を立てて、東口へと向かうそこで、自動販売機を見つける。
このゲーム特有のメーカーなのだろう、見たことの無いソフトドリンクやコーヒーが品揃えとして、アクリル板腰に陳列されている。
そうして一人の青年がやってきて、その自動販売機の前で虚空に何かしら掌を広げてウィンドウのようなものを目の前で開いて見せて操作していた。
そこから覗き込むように見ると何項目か選択肢が出てきていた。
ガランガランと出てきた缶を拾い上げて、彼はソフトドリンクをグビグビと飲みその場を後にした。
私もやってみせよう。
私は虚空に向かって同じそぶりをしてもなかなか開かない。
わからない、聞いてみればよかった。
しかしこのゲームに良い人はいない、そう念頭を二回押されているのだから、その念頭通りに私は行動しようと決意を試みる。
何度やってもウィンドウが出てこない。何故だろうか。困ってしまった。
最後にありったけ念じて開いて大げさにアクションを起こしてみると、
やっと出てきた。
喜んで小汗をかいて喜んでウィンドウを見てみると、初期画面で何もアイコンの無いデスクトップPCを見ているようだった。
もちろんソフトウェア、アプリケーションの類いは何一つ無い。
このゲームへ来させて何をしたかったのだろうか、あの彼女は。
困り果てた後、ウィンドウを触ってみたがカーソルは出た。
ゲームの基本システムツールも何も無い、自分でDLしていくしかないのか。
所持金欄がある、これでやっと喉を潤す飲み物を買えると思い、その欄に目線をスライドさせていくと所持金0 enと表記されていて。
私は飲み物を諦め、肩を落として東口へとトボトボと歩いて行った。
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