story 11 -cafetelia-

 今日は良い気分である。

 そんな一杯のコーヒーとパンケーキを含み、彼女と向かい合う。

「今はどんな気分ですか」

 彼女はそう言う。

「今は良い気分かい?そのパンケーキを食べてみたらもう少しばかりよくなる」

 私はそう言って瞼を深く閉じてまた一口含む。

「奢って貰うなら何か対価が必要ですね。」

 頬を膨らませて怒り気味に言い放つ。私はこう言う。

「ほら口を開けてみてくれ。」

 パンケーキにフォークを刺して、彼女の口元へと渡す。

 彼女は首を伸ばしぱくりと食べて。

「この代価は高く付きますよ。」

 と得意気に鼻を尖らせる。

「安い買い物をしたな。代価には充実した空腹を感じる。」

 私は自分の空の革の財布を開いて見せた。

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